経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、前年度同様に100%を超えているものの、類似団体平均値に対して経費回収率が低く、一般会計からの基準外繰入金の拠出により黒字化している状況である。経費回収率の低調は、施設利用率が低く推移していること、令和3年度はストックマネジメント計画をはじめ政策的な支出が増加したことによる汚水処理原価の増嵩が主な要因である。昨今、物価面でエネルギー、食料品の価格上昇を主因として予想物価上昇率が上昇しており、維持管理費の増嵩に伴い汚水処理原価が増加し、これまで以上に厳しい下水道事業会計の運営を迫られることが予想される。令和4年度、下水道事業計画を変更しDID地区(人口集中地区)のほぼ全域を認可区域とすることを予定しており、より一層の効率的な施設整備と下水道接続の普及・啓発による経営改善に努めていかなければならない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と比較して大幅に下回っているが、これは法適用して間もない団体であるためであり、特別会計の頃を上回る速度で償却率は増加していく。現在、第2期のストックマネジメント計画の策定中であるが、鹿島市浄化センターをはじめ、雨水ポンプ場施設の更新、耐震・耐水化などの大型投資事業が控えており、収支のギャップをどのように解消するかが当市の直面する大きな課題である。令和4年度、経営戦略を見直し、中長期で取り組むべき事業の整理と投資・財政計画の策定を行い、持続可能な下水道事業経営を実現するために必要な措置を講じていく。
全体総括
下水道事業の供用開始から約30年が経過し、老朽化する施設の効率的な長寿命化とともに、その更新にかかる投資を支える営業収益を確保するため、下水道使用料の適正化が求められている。下水道事業の目的である「1.浸水防除」、「2.水洗化による公衆衛生の向上」、「3.公共用水域の水質保全」を恒久的に継続していくために、国庫補助金の最大限の活用、汚水処理原価を縮減するための施策(汚泥処理広域化、肥料利用、エネルギー対策、デジタル化)、使用料の見直しについて目標を設定し取り組んでいかなければならない。