経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を上回っているものの、一般会計から基準外の繰入れを行っている状況であり、また②累積欠損金比率も類似団体を上回っているなど、非常に厳しい経営状況である。さらに、③流動比率は100%を大きく下回っており、1年以内で現金化できる資産で1年以内に支払わなければならない負債を賄えておらず、常に現金不足が課題となっている。また、資本費平準化債に加え、供用開始時の処理場、管渠等整備に借り入れた企業債が依然として多く残っていることから、④企業債残高対事業規模比率は類似団体を大きく上回っている。令和3年度決算から分流式下水道等に要する経費の算定を見直したことにより、⑤経費回収率が大きく改善し、⑥汚水処理原価も大きく減少したが、人口減少等による有収水量の減少及び使用料収入の減少により、今後はこれらの数値も悪化していくことが見込まれる。⑧水洗化率は、事業開始が遅かったこと、高齢者世帯が多いこと、排水設備工事費が多額であることなどの要因により、類似団体を大きく下回っており、市街地の水洗化率(下水道接続率)の向上が課題となっている。
老朽化の状況について
供用開始から22年しか経過しておらず、管渠については法定耐用年数に達するまでにまだ十分な期間があり、現時点で老朽化の問題はない。一方、電気機械設備については、法定耐用年数を経過したものが年々多くなってきており、今後は更新費用が増加していくことが見込まれる。令和2年度に策定したストックマネジメント計画に基づいて、経営状況を踏まえながら、計画的に更新していきたい。
全体総括
本市公共下水道事業は、使用料や一般会計からの公費負担分(基準内繰入金)では、収支均衡が図られないこと、また、慢性的に現金が不足していることなどにより、基準外繰入金に頼らざるを得ない状況であり、非常に厳しい経営状況となっている。今後は、人口減少等により使用料収入の減少が見込まれる一方で、設備の老朽化による多額の更新費用が見込まれるなど、使用料の適正化による経営基盤の強化や広域化及び共同化の推進、ダウンサイジングやスペックダウンによる経営の効率化が急務となっている。このことから、令和4年度中に経営戦略を改定し、現在の経営状況及び将来推計を詳細に分析するとともに、令和5年度中には使用料の適正化に向けた検討(経営審議会の開催)を実施し、持続可能な事業運営に努めたい。