経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超え、累積欠損金比率も0%となっており、また、汚水処理原価も類似団体平均値を下回ってはいるものの、経費回収率は89.42%と100%を下回っていることから、本来は使用料収入で賄うべきコストについて、一般会計からの繰入金などで賄っていることが確認できる。また、企業債残高対事業規模比率は1,451.21%で、企業債現在高合計のうち29.2%を占める雨水排水施設の整備に係る企業債現在高を除いて算定すると994.93%まで減少するものの、依然として類似団体平均値を大きく上回っており、この点からも、使用料の見直しを含めた経営改善を行って行く必要があるものと考えられる。なお、流動比率は41.80%と100%を大きく下回っているが、流動負債のうち76.6%を建設改良債の償還金が占めており、これを除いて算定した場合の流動比率は178.91%と100%を超えるため、このことをもって、直ちに経営の健全性が損なわれているとは言えないものと捉えている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は6.61%と類似団体平均値を大きく下回っているが、これは、令和2年度の法適用から期間が経過していないことが原因であると考えられ、今後、この値は上昇していくことが予測されるため、その推移を注視していく必要がある。また、管渠老朽化率、管渠改善率はいずれも0%であるが、最も古い管渠の建設が昭和52年度であり、令和8年度以降は法定耐用年数を超える管渠が増加していくことになるため、ストックマネジメント計画を策定し、管渠の老朽化具合を順次調査するなど、管渠の改善に向けての準備を進めているところである。
全体総括
下水道事業の経営の健全性は当面保たれてはいるものの、それは一般会計からの繰入金に負うところが大きく、今後、人口減少に伴う処理水量の減少や管渠などの下水道施設の老朽化が加速していくことが予測されることを踏まえると、更なるコストの削減や投資の効率化を徹底し、その上で、使用料の見直しを検討する必要があるものと考えられる。