経営の健全性・効率性について
今年度で地方公営企業法を適用して2年目となる。①経常収支比率は102.31%で、100%を上回っており、単年度収支が黒字であることを示しているが、収益については使用料以外の収入に依存しており、経営努力が必要である。②流動比率は、1年以内に支払うべき債務に対する現金等がどれだけあるかを示しているが、当市は23.43%であり、支払能力を高めるための経営改善が必要であることを示している。③企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の規模を示すものである。当市は549.29%で、類似団体平均を下回っている。建設事業費の抑制により新規起債発行を抑制しており、また、企業債残高は、年々減少している状況である。④経費回収率は、使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示している。当市は80.71%で、類似団体平均を下回っており、使用料収入だけでは経費を回収できていない状態であり、一般会計からの繰入金等に依存している状況である。今後、使用料改定を検討し、適正な使用料の確保に努めること、及び、汚水処理費の削減に努めることが必要である。⑤汚水処理原価は有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用であり、当市は158.52円で、類似団体平均との比較では低い傾向にあるが、全国平均よりは高く、汚水処理にかかるコストが高いことを示している。有収水量は人口減少等の影響で年々減少してきており、水洗化率向上の取り組みが必要である。⑥水洗化率は90.96%で、類似団体平均値を下回っており、近年ほぼ横ばいの状態である。人口減少、未接続の高齢者世帯の増加等の社会的問題が要因であると考えられ、接続数の増加に向けての努力が課題である。
老朽化の状況について
当市の公共下水道事業は、昭和56年度より整備を年次計画で開始してから令和3年度で41年目になる。また、昭和62年度より一部供用開始し35年目となり、下水道施設の老朽化が目出つ。平成30年度に策定したストックマネジメント計画に基づき、下水道施設の改築・更新事業に着手し、今後、年次的に改築・更新作業を進めていく。
全体総括
今後は、少子高齢化に伴う人口減少等から、さらなる料金収入の低下が見込まれる。また、施設の老朽化による更新費用(使用料の増収に結びつかない投資)が年々増加することから、より一層効率的な経営が求められるところである。【今後の取組】1.下水道に対する住民の理解を深めることにより水洗化率を向上させ、有収水量の増加を図る。2.費用対効果を考慮し事業計画面積等を見直し、新規投資を抑制し、企業債残高の圧縮に努める。3.ストックマネジメント計画に基づき、効率的かつ効果的な改築更新を実施し、下水道施設の長寿命化を図る。4.適正な下水道使用料及び使用料改定時期について検討する。また、計画的かつ効率的に維持管理を行い、経費削減に努める。