経営の健全性・効率性について
給水収益の減少、及び営業費用の増加により、経常収支比率は減少している。また、企業債の新規借入抑制により企業債残高対給水収益比率は減少傾向にあるが、経営規模からして、企業債残高の規模は大きくなっている。これにより、企業債利息の支払いが、経常収支を圧迫しているといえる。このことから、建設投資と企業債のバランスを適正に維持し、企業債残高の計画的な減少に努める必要がある。流動負債の減少等により、流動比率は増加しているが、類似団体との比較では低い数値となっている。しかし、現金預金の残高からして、支払能力は十分である。なお、H26の大幅な減少は、公営企業会計制度の改正によるものである。経常費用の増加により給水原価は増加している。これにより、料金回収率は減少しているが、100%を上回っているので、給水に係る費用は給水収益で賄われているといえる。施設利用率、有収率ともに平均値を下回っている。最大稼働率を見ても56.5%と低い値となっていることから、施設能力の縮小(ダウンサイジング)も検討し、漏水等の原因の特定などの対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が増加傾向であることから、保有資産が法定耐用年数に近づいていることがいえる。アセットマネジメントの結果を検討し、計画的な事業計画を策定し、実践している。更新した管路が増加したことにより、管路更新率は増加している。また、これにより管路経年化率の上昇を抑制することができた。引き続き、法定耐用年数を超える管路については、計画的な更新を実施する。更新に際しては、全て耐震管を採用し、管路の長寿命化を図るため、実耐用年数の長い資材を積極的に採用する。
全体総括
人口減少に伴う料金収入の減少、施設・設備の老朽化等による更新投資の増大などにより、今後、厳しい経営状況が予想される。事業を持続していく為には、中長期的な視点に立った計画的な経営に取り組む必要がある。そこで、厚生労働省が推進する「新水道ビジョン」を実現する為に、平成28年6月に「阿賀野市新水道ビジョン」を策定した。アセットマネジメント等を基にした更新投資の推進、既存施設のダウンサイジング、及び長寿命化など、最大限の企業努力をすすめるが、将来的な改善方策として、これに対応した料金の見直しも検討する必要がある。