経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体平均値を下回っているものの、100%を超えており、一般会計からの繰入金等により、収支均衡を保っている。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生していないため、0%である。③流動比率は、類似団体平均値を下回っている。流動負債に占める企業債償還金の割合が大きい。④企業債残高対給水収益比率は、過去の表流水系施設への投資が大きかったことと、給水収益が減少しているため、類似団体平均値を大きく上回る。⑤料金回収率は、100%を大きく下回る。これは、本市水道事業の水道料金を、行政区域内に併存する千葉県水道局の水道料金と同じにしているためであり、一般会計からの繰入金に依存した経営状況となっている。⑥給水原価は、類似団体平均値と比較して約3倍高い。過去に整備を行なった水道施設の減価償却費と企業債の支払利息が大きな割合を占めている。⑦本市水道事業は、施設利用率の数値を改ざんしていた。実数値は、H24:54.1%、H25:53.0%、H26:52.4%、H27:53.1%、H28:51.0%であり、類似団体平均値と比較して低い。水道施設数が多いことから、既存の施設を有効利用した統廃合や施設規模の見直しなどを進めていく必要がある。⑧本市水道事業は、長年にわたり有収率の改ざんを行なっていた。実数値は、H24:73.4%、H25:74.6%、H26:74.0%、H27:72.0%、H28:74.4%であり、類似団体平均値を大きく下回る。漏水や不明水が原因と考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却費は、類似団体平均値並みであるが、上昇傾向にある。緊急性や施設の重要度を考慮し、費用の平準化を図りながら、計画的な更新が必要がある。②管路経年化率は、類似団体平均値を大きく上回り、上昇傾向にある。③管路更新率は、平成24年度から27年度は類似団体平均値を上回っていたが、平成28年度は下回った。今後、法定耐用年数を経過した管路が増加する見込みであることから、計画的な更新が必要である。石綿セメント管の更新に加えて、老朽管(塩化ビニル管)の更新にも取り組む必要がある。
全体総括
本市水道事業は、少子高齢化に伴う人口の減少により、給水量は減少傾向にある。また、節水意識の向上など社会状況の変化により水需要は伸び悩み、給水収益は減少傾向にある。さらに、老朽化に伴う水道施設の更新や大規模災害に備えた耐震化などの設備投資が必要となることから、水道事業の経営は一段と厳しさを増している。今後は、水需要に応じた施設規模の見直しによるコスト縮減を図る必要がある。また、老朽化が進行している管の布設替えを計画的に実施し、有収率の向上を図る必要がある。今まで以上に効率的かつ効果的な事業運営を行い、財政収支の改善を図る必要がある。