経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度と比べて、料金改定による給水収益の増などにより4.24ポイントの増となりました。③流動比率は前年度と比べて、未払金及び未払費用などの減により59.45ポイントの増となりましたが、全国平均・類似団体平均いずれの値より下回っています。今後も将来の更新需要に備え給水収益の増収を図り、内部留保資金を増額できるよう料金の改定等を検討し、経営を強化する必要があります。④企業債残高対給水収益比率は、基幹配水管の耐震化の財源とするため、企業債の借入を平成26年度から継続していることにより残高が増加していますが、その増加率を給水収益の増加率が上回ったため、6.64ポイントの減となりました。今後は、起債額を抑えながら計画的に借入を行う予定です。⑤料金回収率は、料金改定や新型コロナウイルス感染症に伴う支援策として実施した基本料金減免の終了による給水収益の増により11.59ポイントの増となりました。⑥給水原価は、給水費用が増加したことに加え、給水人口の減に伴って年間有収水量が減少したことにより3.1ポイントの増となりました。⑦施設利用率は、給水人口の減に伴って年間配水量が減少したことにより0.2ポイントの減となりました。⑧有収率は、前年度と比べて0.33ポイントの減となりましたが、平均値を上回る水準を維持しています。更なる向上を目指し、計画的に老朽管の更新を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、全国平均・類似団体平均いずれの値より下回っていますが、償却資産の増加率を減価償却累計額の増加率が上回ったことにより0.42ポイントの増となり、施設の老朽化が進んでいます。②管路経年化率は、配水管の老朽化対策を継続して実施しているものの、布設替延長を耐用年数を迎える延長が上回って、老朽化の進行に追い付いていないことにより2.8ポイントの増となりました。また、本市は、類似団体に比べて下水道事業の普及が早く、同時施工により布設替を行った管路が耐用年数を迎えていることも、ポイント増の要因です。③管路更新率は前年度と比べて増加しました。平均値より上回っており、急激な老朽化に対応するため、このペースを維持して老朽管更新を行うことが重要課題となっていますが、工事費や工事担当職員の確保が懸案事項となっています。
全体総括
人口減少や節水意識の向上、節水機器の普及などにより水需要の伸びは期待できないため、これまでの整備により増大した資産をいかに維持し、持続可能な水道事業であり続けるかが重要な課題です。このような状況の中、施設や設備に関する投資とその財源見通しを試算し、収入と支出を均衡させた投資・財政計画である「経営戦略」を平成30年度に策定しました。この内容に基づき、更新投資に必要な資金を確保するため、企業債借入の方法や料金の改定を検討し、令和3年10月に料金改定を行いました。今後も、適宜見直しを図りながら、取組を着実に実行していきます。また、将来の施設のあり方を踏まえて策定した水道施設整備基本計画とも整合を図った新水道ビジョンの内容に沿って事業を進めることで安全で安心な水の安定供給に努めます。