新城市：新城市民病院

地域において担っている役割

当院が所在する愛知県東三河北部医療圏は、山間へき地であることから民間医療機関の立地が困難な地域である。また圏域面積が広大であるため、救急搬送時間が長くなり、医療圏内での救急対応が望まれている。そのため、救急医療をはじめとする急性期医療、地域包括ケア病棟の運用による回復期医療など、不足している医療サービスの提供、へき地医療拠点病院として医師等の医療従事者のへき地診療所等への派遣など、当地域の基幹病院としての役割を担っている。

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は全国平均値、類似病院平均値ともに上回っており、単年度黒字となっている。しかし、③累積欠損金比率は類似病院平均値は下回っているものの全国平均値を上回っている。また、④病床利用率は全国平均値、類似病院平均値ともに下回っている。さらに、⑧材料費対医業収益比率は全国平均値は下回っているものの類似病院平均値を上回っている。④病床利用率が低値となっている要因は、医師不足による救急受入れの制限、入院対応可能な診療科が少ないことである。⑧材料費対医業収益比率が類似病院平均値を上回っている要因は、薬品費について後発薬品への切り替え時期が類似病院よりも遅れたことが考えられる。後発薬品への切り替えは順次進めており、シェア率が年々上昇しているが、引き続きシェア率80%を目標に切り替えを進める。また、黒字決算の維持には病床利用率の改善が不可欠であることから、引き続き医師確保による病床利用率の改善に努め、累積欠損金の解消を図っていく。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率、②機械備品減価償却率とも全国平均値、類似病院平均値を大きく上回っており、耐用年数の迫った施設を多く抱えている状況である。また、③1床当たり有形固定資産についても、全国平均値、類似病院平均値を大きく上回っている。現在、建物については不具合があればその都度応急的な処置をしており、医療器械については、不具合の状況等を考慮しながら耐用年数を経過したものも使用している。施設の規模については、過去最大326床あった病床数を199床へ縮小したが、建物をそのまま使用しているため、空き部屋等を抱えている状況である。建物は雨漏り等経年劣化による不具合も増えてきていることから、将来の医療需要の動向にも注視しながら改築等最適な方法及び適切な施設規模を今後検討していく。

全体総括

経営の健全性・効率性を見れば比較的健全な経営状況となっている。しかし、老朽化の状況では各指標とも全国平均値、類似病院平均値を上回っており、近い将来更新時期を迎える施設を多く抱えている状況である。また、病床利用率においても低値で推移しており、改善に向けた取り組みが必要となっている。このため、常勤医師を確保することで病床利用率の改善を図り、黒字決算を維持していくとともに、最適な施設の規模等を検討し、計画的に更新していく。