経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性について、類似団体との比較においては、同等程度の経営と考えるが、1.⑦施設利用率については、本市水道事業の課題であると認識している。これは、観光都市特有の事情である「行楽時期と平常時における水需要の差」も要因の一つと考えられる。つまり、ピーク時の給水に対応できる配水能力を有する本市としては、年間の配水量を一日平均にすることで、配水能力を効率的に使用できていないという分析が導き出される。この点については、最適な施設能力を踏まえて施設更新計画していくことが肝要と捉えている。その他、経営面では、平成19年度から3回実施した料金改定及び人員・費用の削減により、1.①経常収支比率は100%を上回り、1.②累積欠損比率の数値は0.00%となっている。この点では、健全な経営を維持していると言える。こうした中、経営状況が厳しかった時期に着手できなかった施設整備や老朽化した管路の布設替、また安全な給水に必要不可欠な浄水場・配水池等の更新工事に取組み、その成果として、1.⑧の有収率はわずかではあるが向上してきている。なお、投資額増大に伴い、その財源として企業債発行を行うため、1.④企業債残高対給水収益比率の数値について、類似団体と比較すると数値は下回っているものの、本市の数値は、上昇傾向にある。近年は、繰出基準に基づく一般会計からの出資金を受けて施設整備を行っているが、後年度負担となる企業債については効果的に活用し、所要の建設改良事業に取組むものである。
老朽化の状況について
全国で17番目に給水を開始しているため施設の老朽化は著しく、2.②管路経年化率でも分かるように、本市の管路延長に対して法定耐用年数を超えた管路延長を占める比率が類似団体に比べて非常に高い。この状況を改善するために、本管布設替工事を進めており、2.③管路更新率では、過去5年間類似団体に比べて高い比率となっている。ただし、管路更新率は2.5%の場合、全ての管路を更新するために40年を要すると言われているため、今後も、経営状況を勘案しながら、管路更新を計画的に行う必要があるといえる。
全体総括
人口の減少による給水収益の減少が見込まれる一方で、管路及び施設の老朽化により維持管理に要する費用が増加し、厳しい経営状況となることが予測される。今後も同水準の経営状況を保つためにさらなる経費節減・料金の適正化に努め、計画的な投資を行うものである。