経営の健全性・効率性について
当市の下水道事業は、地方公営企業法適用以降において黒字決算を継続しており、現在までは順調な経営状態にあると考えられる。過去に施設建設費の財源とした企業債残高も減少傾向にあり、残高の規模も全国平均より低く抑えられている。令和3年度決算では、コロナ禍による観光業等の大口利用分の減少が続き、有収水量の減少、汚水処理原価の高騰となって影響を受けた。経費回収率は令和2年度と比べ若干改善したが、依然として100%に届かない状況である。水洗化率は未普及地区解消工事を進める中で年々向上し、令和元年には99.62%まで到達したが、人口減小幅が大きく、処理区域内人口密度も昨年度比28.28人/k㎡減少しており、水洗化率は足踏みしている。コロナ禍も収まらず、人口減少が続いていく中、今後も経費回収率は低下し、汚水処理原価も更に上昇していくと推測される。一方で、昭和50年代に始まった下水道建設により、既に40年以上経過した管渠が増加していることから、管渠の入れ替えを含めた老朽化対策工事が本格化する中、企業債残高対事業規模比率は今後再び上昇していくと見込んでいる。
老朽化の状況について
当市の下水道施設は、昭和50年代後期、平成初期、平成中期に建設のピークがあり、令和10年度には供用開始から30年以上経過する管渠が全体の65%、40年以上経過する管渠が全体の40%以上となる見込みで、有形固定資産減価償却率も近年は毎年約2.5%程度上昇しており施設の老朽化が進行しているが、現況は早急な管渠取替えが必要である等の切迫した状況にはないものといえる。しかし、当市の汚水には温泉下水が含まれることから、温泉成分による管渠の腐食・劣化が一般的な汚水構成の場合と比べ早く進行することも懸念される。老朽化対策の財源確保を確実に行うため、令和元年度に策定したストックマネジメント計画に基づいて、単に経過年数のみによらず管渠の劣化状況を適切に把握する事業を進めている。この結果に基づき、急激な改築費用増大による経営悪化を招くことがないよう、計画的、効率的な下水道管渠改築計画の策定、事業実施を進めていく必要がある。
全体総括
現在の経営状況は概ね順調ではあるが、今後、管渠等の老朽化に伴う維持管理・改築等に係る費用は増大し、人口減少による使用料収入の減少、有収水量の減少、汚水原価処理の高騰となって現れると想定する。一方で、毎年の企業債残高は順調に減少しており、キャッシュフローは当面の間、必要額は確保出来るものと見込んでいるが、昨今の急激な電気料金の値上げによる費用の増大には注意を要する。このような状況下、安心安全な生活空間の提供と良好な水資源の循環のため、ストックマネジメント計画に基づいた計画的・効率的な改築事業を進めると共に、経費節減のための企業努力を継続して行っていく。また、本格的な管渠改築事業が必要となる時期を前に、安定的・継続的な事業運営を行うため、改築費を考慮した使用料改定を視野に入れる必要がある。