経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は平成22年6月の料金改定以降は黒字を示す100%を越えており、平成24年度から町内の土地区画整理事業の進捗に伴う分担金の収入が増加し、経常収支比率も大幅な伸びをみせているが、今後は土地区画整理事業に伴う新規加入の落ち着きが予想されるため、経常収支比率も徐々に数値は低下するものと想定される。③流動比率は過去3年、全国・類似団体平均値を大きく超えており、良好な経営状態であるといえる。④企業債残高対給水収益比率は平成13年度以降、企業債の借入を行っていないことから、全国平均、類似団体平均と比べても低い数値であるが、今後の施設更新や世代間の負担の均等性などから、平成31年度以降は企業債借入を実施していく予定である。⑦施設利用率も平均値を上回っており、現在の設備投資は過剰な投資ではないといえるが、⑧有収率については平均値を下回っており、改善が求められる点である。そのため、町では平成25年度よりエリアを決めて漏水調査を開始しており、3年間で5.86%改善した。今後も引き続き漏水調査は実施し、有収率の更なる改善を目標としている。⑥給水原価については、平成27年度に電気料金の減少や費用削減に伴い類似団体平均値以下まで改善され。平成28年度も引き続き平均値以下の数値となっている。これに伴い⑤料金回収率も県内平均値よりも良好な数値を示している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率では、施設全体の減価償却率が50%を超えており、今後、老朽化が進行していくことが予測される。2つの浄水場、1つの配水場を水需要にあわせて整備を行ってきた。平成28年度には水道施設のアセットマネジメントを実施し、将来的に1つの浄水場を廃止する方向で検討している。②管路経年化率では、1%台で推移しており、健全な管路が多いことが示され、喫緊な更新需要は増加しないことが予測される。反面、更新需要の時期が集中することが予測されており、莫大な更新費用が必要となるため、費用がある程度均等となるよう計画的な更新が必要となる。③管路更新率では、健全な管路が多く、更新需要が少ないことで、更新率が低い傾向になっている。
全体総括
①経常収支比率が平均値を大幅に上回っているが、区画整理事業地内の分担金による収益が大きな割合を占めている点に注意が必要である。また、老朽化の状況①有形固定資産減価償却率が示すように、固定資産の使用年数は高い傾向にある。その反面、②管路経年化率・③管路更新率が低い数値となっており、将来的には更新需要が集中する時期が発生すると予測される。そのため、現行の料金体系でどれだけの資産が更新できるのか、どのように更新需要を分散させれば現行の水道料金のまま経営できるのか、浄水場の廃止を含め、今後の計画戦略(見通し)を作成する予定である。経営の健全性としては多くの指標が健全性の高い数値を残しているが、給水収益は年々減少しており、分担金の収入も今後は減少が想定されるため、将来の水需要をしっかりと分析して事業を展開する必要がある。