経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益や他会計補助金等の収益(経常収益)が維持管理や支払利息等の費用(経常費用)をどの程度賄えているかを表す指標で、112.88%と100%以上であり、全国平均です。料金回収率を見ると97.69%で100%を下回っていることから、給水に係る費用が給水収益以外の収入(他会計補助金や長期前受金戻入)で賄われていることが分かります。また、経常収支比率、料金回収率共に、前年度より減少しており、ここ5ヶ年度において3ヶ年度は、給水原価が供給単価を上回る逆ざやの状態です。有収水量の増加が見込めない状況から考えると、給水収益の回復は見込みがたい状況であることから、維持管理費等の経常費用の削減による経営改善が必要です。②流動比率については、短期的な債務に対する支払能力を表す指標で全国平均となっています。H26年度より極端に減少しているのは、公営企業会計制度の改正により、借入資本金が資本から負債に計上されることになったこと等によるものです。また、給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率については、企業債残高の減少により改善傾向にあります。しかし、全国平均と比較すると高い状況であり、企業債残高の削減が必要です。③施設利用率は、一日配水能力に対する一日平均配水量の割合で、高い数値であることが望まれ、79.70%と全国平均の59.94%を上回っており、施設の利用状況としては適正であると思われます。しかし、有収率については、79.40%と全国平均を大幅に下回っており、施設利用率は高い状況ですが、有収率が低水準であるため、収益につながっていない状態です。そこで、H27年度より年間を通して、給水区域内全域での漏水調査を実施して有収率の改善に取り組んでいます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、資産の老朽化度合いを示しており、100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近づいているということであり、45.55%と全国平均以下です。しかし、管路更新率が0.41%と1%にも満たない状態であり、このままでは全ての管路を更新する前にほとんどの資産が法定耐用年数を迎えてしまう状況に陥ることになります。そのため、優先度を考慮した上での計画的な更新に努めていきます。
全体総括
給水収益の大きな増加が見込めない状況にある一方で、維持管理費等が今後、増加すると予想されます。さらに、法定耐用年数を迎える有形固定資産は年々増加していくことが予想され、恒久的な安定給水の実現のために、計画的な施設の更新・整備や総合的な震災対策を進めていく必要があるため、H29年度より水道料金の改定を予定しております。常に安全で良質な水を安定して供給するために、施設の更新・整備を計画的に推進していくことはもとより、経常費用の削減に努めるほか、企業債残高の削減を図るなど、限られた財源の重点的かつ効率的な配分により健全経営を目指していきます。