経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%以上、②累積欠損金比率は0%であるが、⑤経費回収率は100%未満であり使用料収入で汚水処理費が賄えていない。不足する分は一般会計からの繰入金で補てんしている。経常利益34.3億円に対して、繰入金が15.7億円である。そのうち5.7億円が基準外繰入金である。③流動比率は、年々増加傾向であり、類似団体の平均値近くなった。しかし流動資産12.0億円に対して流動負債が19.0億円であり、うち企業債償還金が16.5億円を占めており、内部資金が不足していることがわかる。④企業債残高対事業規模比率は、年々減少傾向であるが、類似団体と比較しても多いことから、今後も企業債残高の削減に努める必要がある。基準外繰入金に頼っている状況である。⑥汚水処理原価は、総務省の示す最低限行うべき経営努力として使用料収入で賄うべき汚水処理費150円/㎥を採用している。⑦施設利用率は、流域下水道に接続しており、処理施設を所有していないためなし。⑧水洗化率は、微増傾向にある。今後も100%に近づけるよう普及促進活動に努める。今後の課題としては、経費回収率の向上、基準外繰入金の削減が挙げられる。維持管理等の経費削減に努めるとともに、水洗化率を向上させ使用料収入を増加させることで、経費回収率、流動比率の向上を図り、基準外繰入金の削減に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、約3%増加で推移している。法適用企業として年数が浅いこと、資産のほとんどが管渠であること、耐用年数が比較的長いことから、類似団体より低い数値となっている。②管渠老朽化率は、昭和57年供用開始のため、耐用年数を超えている管渠はない。今後、令和14年から耐用年数を過ぎた管渠が増えていき、令和30年頃にピークを迎える。③管渠改善率は、他事業に伴う管渠の敷設替えが主である。令和3年度には該当するものはなかった。今後の課題として、ストックマネジメント計画を策定し、投資と財源のバランスを図り、計画的に更新事業を進めていく必要がある。
全体総括
本市の公共下水道事業は、昭和57年に供用開始し、現在まで約728kmの管渠整備を行ってきた。全体計画に対する整備率は85.2%であり、今後も整備拡大を予定しているが、節水機器の普及、人口減少により使用料収入の大きな伸びは期待できない。また、今後の企業債残高は減少傾向となり基準外繰入金も減少していく見込みであるが、将来の更新事業に向けた内部資金を確保するためにも、適正な使用料単価を検討し、企業債に依存しすぎないよう健全な経営に努め、将来に渡り持続可能な下水道サービスを提供し続けられるよう、経営基盤の強化に取り組む必要がある。