経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%以上ではあるが,料金回収率が100%を下回っており,給水収益以外の収入に頼っている状況である。給水収益以外の収入として,本村では一般会計より補助金を繰り入れて収益の不足を補填しているのが実状であり,経営の改善を図る上では,適切な料金収入の確保が必要となる。④企業債残高対給水収益比率は類似団体より若干低いものの,料金改定をして料金の適正化を図るとともに,維持管理費用の削減に努めていく必要がある。⑤料金回収率は類似団体と比較して低いものとなっている。先に述べたように給水にかかる費用を給水収益で賄えていないことが要因である。そのため,平成19年度から3期に分けて料金改定を段階的に行っているところであり,3期については平成30年4月より改定を予定している。⑥給水原価は前年度と比較すると8.98円高くなっている。また類似団体と比較しても高い傾向にある。経常費用の増加が要因となっている。削減可能な経費を精査していく必要がある。⑦施設利用率は毎年同程度である。類似団体と比較しても高い傾向にあるため,概ね適切な施設規模であると考えられる。⑧有収率は類似団体と比較すると若干低く,また本村ではここ数年下がっている傾向であり収益に結びついていないため,不明水の原因を特定して対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
現在の管路経年化率は0%であるものの,水道管が整備されてから法定耐用年数の40年に近づき,老朽化が進んでいる状況である。今後の維持管理や有収率向上のために水道管更新時に耐震管への布設替えを順次行っている。また,平成29年度より導水管敷設工事を行っているところであり,完了後に基幹管路更新工事を行う予定である。更新時には多大な費用と時間を要するが,インフラ長寿命化計画を基に進めていく必要がある。
全体総括
本村では一般会計より補助金及び出資金を繰り入れており,その補填がなければ収支が赤字という状況である。独立採算制の原則からいうと,本来ならば水道料金によって経費を賄わなければならないことから,経営改善に向けて対策を講じる必要がある。改善策として平成30年度に料金改定を行うことを予定している一方で,老朽化する水道管の更新工事の費用や企業債償還金の増加が見込まれ,また近年の有収率の低下も懸念される。経営にあたっては厳しい状況が継続する見込みである。企業としての経済性を発揮して効率的な経営を図るために,より一層の維持管理費用等の削減を行い,財源を確保する必要がある。