経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超え、類似団体の平均より高めで推移していることから健全な経営水準です。②累積欠損金はありません。③流動比率は、100%以上を保持しており、健全な経営水準です。④企業債残高対給水収益比率につきましては、615%となっており、類似団体に比べ企業債の残高の割合が多くなっています。今後も簡易水道事業との統合により、簡易水道事業の企業債を受け入れる(平成29年度より約12億円)ことが予定されていること及び耐震・改良、上水道の一元化などにより毎年借入を予定していることから、起債残高は今後約10年間~15年間は、残高の減少幅が少なくなることが予想されます。⑤料金回収率については、類似団体より高く、今のところ料金水準が適正であるといえますが、簡易水道事業との統合後の変化を見守る必要があります。⑥給水原価は、類似団体より低く、今後も維持管理の軽減を図ります。⑦施設利用率、⑧有収率は、類似団体より高く、効率的な運営・管理が出来ていると言えます。一方で、今後10年~15年の建設改良費の投資については、国庫補助金等の活用を検討するなど、財源確保に努める必要があります。さらに、旧簡水分の起債元金償還に係る一般会計からの繰入(元金償還の1/2)を繰入ることも考えられるため、これらの方法により経営の健全性、運営の効率化を図ります。
老朽化の状況について
水道管の耐用年数は、標準的に40年といわれていますが、①有形固定資産減価償却率では、年々老朽化が進んでいることがわかります。②管路経年変化率も類似団体と比べると高くなっています。③管路更新率は、平成24年度をピークに減少しています。平成25年度より簡易水道事業の統合などを優先的に取り組んだことから、ここ数年、減少したと分析しておりますが、今後は日南市水道事業ビジョンに基づき、平準化を図りながら、耐震、更新工事により老朽化対策を進めてまいります。
全体総括
本市の水道事業は、類似団体と比較すると概ね経営・運営状況は良好と判断していますが、老朽化する施設等の更新率の低さや、人口減少による給水収益の減少が危惧されるところです。また、平成29年度の簡易水道事業との統合が予定されており、企業債元金(負債)や老朽化した管路(資産)が増加することから、元金償還額以内の企業債借入を行なうことにより、企業債残高の減少に努めるとともに、一方では、水道事業ビジョンに基づく、耐震・更新工事、旧日南市・旧南郷町上水道地域の一元化などを平準的に行なうことで、災害に強い「強靭」な水道施設を構築します。また、これまでも経費節減に努めて参りましたが、人口減少による収益の減少、簡易水道事業との統合などによる費用の増により、収益的収支の黒字幅が減少することが予想されることから、料金改定も視野に入れ、運営を行ないます。