経営の健全性・効率性について
志免町の水道事業経営において、毎年1~1.5億円の利益が発生しているため、健全な経営状況にあります。しかし、昨年度に引き続き、旧南里配水池解体等に伴い平成27年度も利益が減少しました。また、今後の給水収益の増加は見込めないため、利益の増加も厳しい状況にあります。→単年度の収支比率を表す「①経常収支比率」が100%未満であるが、近年は黒字が継続していたため、「②累積欠損金」はありません。しかし、更新工事等が増えていく中、現金等の流動資産の減少に伴い、「③流動比率」が減少傾向にあります。また、給水に係る費用が増えたことにより給水原価が供給単価を上回り、「⑤料金回収率」は100%未満となり、「⑥給水原価」が類似団体の平均値よりも高くなりました。この要因としては、旧南里配水池解体等に伴う費用が発生したことによるものです。一方、「⑦施設利用率」及び「⑧有収率」は類似団体の平均値を超えており、施設の稼働状況が適切に収益に反映されていることからも、経営の効率性は高いものと考えられます。
老朽化の状況について
志免町の水道管は毎年計画的に更新を行っているため、著しい管路の老朽化や早急に検討すべき課題はみられません。「①有形固定資産減価償却率」は類似団体平均値と比較すると概ね同様の増加傾向を示していますが、法定耐用年数(40年)を超える管路は無いため、「②管路経年化率」は各年度ともに0%となっています。「③管路更新率」は平成23年度が1.93%、平成24年度が1.25%、平成25年度が1.15%、平成26年度が1.26%、平成27年度が1.87%であり、類似団体平均値に比べると早いペースで管路更新が行われているものと考えられます。また、健全性の観点から、水道管路のみならず水道施設についても耐震診断等による健全性の維持に取り組むことが望ましいと考えられます。
全体総括
「①経常収支比率」はここ数年良好であり、平成27年度のみ赤字となりましたが、「②累積欠損金」もないことから、現在のところ経営の健全化は保たれていると考えられます。ただ、今後は収益において給水収益の伸び悩み、費用においては受水費のさらなる増加など、様々なマイナス要因が考えられます。また、水道施設への更新投資を十分に行うことで、水道管路の健全性を確保できている反面、多額の更新費用が発生することにより「③流動比率」の低下も見られます。そのため、今後も経営の健全化と水道施設の健全性を維持するためには、さらなる経営の効率化と経費削減に取り組むとともに、更新事業の選択と集中や施設の延命化により更新費用を抑えていく必要があります。