経営の健全性・効率性について
平成27年度末の給水人口が32,780人の水道施設を管理運営している会計で、昭和50年代に整備した水道施設を平成11年から平成28年度までの間、191億円を投資して計画的に改良・更新を行っている。経営状況については、経常収支比率が過去80%台で推移しており、依然として水道料金収入等で経営に必要な経費(施設の維持管理費等)を賄うことができていない状況である。これは新しい施設の建設に伴う借入金の支払利息及び減価償却費が費用の約7割を占めているためであるが、改良・更新工事も終盤を迎えていることから、上昇傾向にあると考えられる。流動比率については312.07%であり、昨年同様支払い能力は保たれており、類似団体平均371.31%と比較してもほぼ同水準である。企業債残高対給水収益比率は過去5年間2,000%台で推移しており、類似団体平均が約400%であるのに対して、大幅に上回っている。これは着実に老朽化した施設の改良・更新を行っている結果、投資規模が大きくなっていると言えるが、事業完了後には債務残高は減少していく見込みである。施設利用率は近年減少傾向にあり、給水人口の減少及び大口使用者の撤退等が影響しているものと思われ、今後、施設の統廃合・ダウンサイジング等について再度見直す予定である。有収率については、85.78%で平均値と同程度だが、昨年に比べ低下している要因は、平成27年度からの料金体系の見直しによるものや節水機器の普及等により、一戸当たりの使用水量の減少が影響したものと考えられる。
老朽化の状況について
昨年に引き続き、有形固定資産原価償却率が27.65%と同水準であり、類似団体平均45.75%に比べ大幅に下回っていることから、老朽化した施設が少ないことを表している。これは、平成11年度からの継続した施設改良・更新により新しい施設が多いためと考えられる。また、管理経年化率は0.80%であり、類似団体平均10.54%を大幅に下回っていることから、法定耐用年数を超えた管路は少ないと言える。
全体総括
経営の状況としては、計画的な施設の改良・更新が類似団体よりも進んでいることから、経常収支比率が100%を下回り、累積欠損金を抱え企業債残高対給水収益比率についても類似団体平均と比べ上回っている。累積欠損金を解消するため、収入については平成19年度から4年ごとに料金の見直しを行っており、平成27年度までに3回の料金改定を行っている。また、人件費の削減等経営改善を行なっているが、給水人口の減少等によって水道料金収入が伸び悩んでおり、経営は厳しい状態が続いているため、今後も効率的な経営に努めていく必要がある。