経営の健全性・効率性について
①今年度も単年度収支は黒字となり,経常収支比率も上昇した。これは,負担金などの雑収益の増加や減価償却費の減少による。一方で,今後の減価償却費は増加する見込みであり,また,他会計補助金など給水収益以外の収入の依存度も高く,収支改善を継続する必要がある。平成29年4月1日の簡易水道事業の水道事業への統合を機に,更なる経費節減に努めるとともに,より強い加入促進活動が必要である。③100%を大きく超えており支払能力は充分にある。④新規拡張事業等の財源として企業債への依存度が高く,また,21年間料金改定を実施してこなかったことから,依然として,全国・類似団体の平均値を上回っている。新規拡張事業は企業債の増加につながることから,収益性の低い未施工の計画給水区域の拡張は慎重に判断しなくてはならない。また,内部留保資金の活用も視野に入れた,投資・財政計画の見直しをしていく必要がある。⑤対前年より2%あまり改善されたが,依然として全国・類似団体の平均値を大きく下回っている。単年度収支は黒字であったものの,21年間料金改定を実施してこなかったことも料金回収率低下の原因である。平成29年4月1日の簡易水道事業の水道事業への統合を機に,料金改定を実施し,料金回収率の向上をめざす。⑥⑧中山間地域特有の地形への配水や漏水量の多さが原因で,給水原価・有収率とも全国・類似団体の平均値に比べ大きな差が生じている。特に有収率の低下は深刻な問題であり,計画的な老朽管更新はもとより,これまでの調査方法に他の調査方法を併用し,より多くの漏水箇所を発見し修繕していく必要がある。⑦全国・類似団体の平均値を上回っており,施設の効率性は保たれている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は,全国・類似団体の平均値より低く,比較的に資産は新しい。③今年度の管路更新率は,対前年数値,全国・類似団体の平均値を上回ったが,管路全体における法定対応年数を超えたもの(②管路経年化率)は,依然として10%を超えている。管路更新率を今年度並みに継続していくとともに,浄水場・配水池などの施設も含めた更新計画を早急に作成し,計画的かつ効率的な更新に取り組み,必要に応じて,拡張計画を含めた投資計画の見直しを行う必要がある。また,地震など災害に備えた管路整備や構造物耐震化の必要性が高まっている中,耐震化を踏まえた更新をしていくことも必要である。
全体総括
平成29年4月1日の簡易水道事業の水道事業への統合を控え,現在作成中の「経営戦略」に基づき,簡易水道事業も含めた経営の健全化を進めていく必要がある。更新計画,水道ビジョンの見直しも早急に行い,長期的なビジョンのもと将来的な投資・財政計画を立てる必要もある。料金改定については,簡易水道事業の統合を機に旧三次市エリアを実施するが,統合後の全体の料金回収率,毎年の経営状況を確認しながら,経費節減に努め,適正な料金設定を行っていく必要がある。