経営の健全性・効率性について
経常収支比率は類似団体平均値を下回っているものの、単年度収支は過去5年間で100%を維持している。また流動比率は平成27年度はやや減少して1,000%を切ったが、これは、建設改良工事に係る未払金が増加したことによるもので、単年度の特別な事象によるものであるため、短期的な資金繰りについて大きな問題はないと考えられる。企業債残高対給水収益比率は低い水準で推移しているため、類似団体と比較しても借入金への依存度は低く、現時点では比較的健全な経営を行えていると考えられる。料金回収率もほぼ継続して100%を上回っているため、現時点では事業に係る経費を給水収益により賄われていることを表している。しかしながら、給水原価が類似団体平均値より高いため、原価軽減に努める必要があり、施設利用率が類似団体平均値より低く、効率的な施設利用ができていない可能性があるため、今後の管路更新にはダウンサイジングも視野に入れて検討する必要がある。有収率は類似団体平均値より高いものの、減少傾向にあり、老朽管漏水事故の影響が出ていると考えられるため、計画的な管路更新を行い有収率回復に努める必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率が類似団体平均値を上回っており、なおかつ、管路更新率が低いことから管路の更新が進んでおらず老朽化が進んでいると考えられる。しかしながら、平成26年度からは増加傾向にあり、平成27年度においては1.4%となっている。今後、管路の更新を進めていくなかで、現状の水準を下回らないよう計画的な管路更新を進めていく必要があり、それに伴う更新投資に関する費用は増加させざるを得ないと考えている。
全体総括
有形固定資産減価償却率が高い反面、経常収支比率がある程度の水準を保てていることから、管路更新を先送りにすることにより、健全に見えている部分もあると考えられる。今後、計画的な管路更新を進めることで、それに伴う更新投資の増加が経営に影響することは明らかであるが、投資額を極力抑えるために、長寿命化やダウンサイジングを視野に入れ計画立案することが重要であると考える。財源面においては、長期的な視点から料金水準や経費の見直し、企業債の発行を含め、投資財源の確保について時期を見誤らないよう検討することが重要であると考える。