経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は102%程度で、維持管理費や支払利息等の経常経費を給水収益等の経常収益で賄えている。人口減少に伴う給水収益の減少傾向が今後も続くことが見込まれることから、経常経費の節減努力に継続的に取り組んでいく必要がある。「累積欠損金」は生じていない。・「流動比率」については、200%以上を維持しており、短期的な債務の支払い能力については当面は問題がないものと考える。・「企業債残高対給水収益比率」は年々減少しているが、これは、平成21年度から企業債による資金調達を行わず、損益勘定留保資金等で建設改良費の財源を確保してきたためである。・「料金回収率」は、100%を下回っており、給水原価が供給単価を上回る原価割れの状態であるため、簡易水道の上水道への統合に併せて、料金改定を実施する等、適切な料金収入の確保に取り組んでいく。・「有収率」は78%で全国平均を大きく下回っている。漏水調査等により有収率の向上に努めてはいるものの、老朽管路の更新等の根本的な解決方法に取り組む必要がある。・安定した収益を確保し、経営基盤の強化を図るため、料金改定の実施を予定しているところであり、業務内容を精査し、民間委託化についても引き続いて検討し、経営改善に努めていく。
老朽化の状況について
・「有形固定資産減価償却率」は、42%で年々増加傾向にあり、資産の老朽化度合は進みつつある。・「管路経年化率」も同様に上昇傾向にあることから、管路更新計画に基づく計画的な更新を図る必要がある。・「管路更新率」は、依然として低い状況にあり、現行の更新水準では更新需要に追いつかない状況にあるため、更新スピードを速める必要がある。しかしながら、管路更新に見合う財源を確保することも同時に必要となってくることから、料金収入の確保とあわせての検討を必要とする。・このような老朽化の状況を踏まえ、予防保全的な補修等により、資産の長寿命化を図り、更新費用の低減を目指すアセット・マネジメント手法を活用した水道施設及び管路の更新に取り組んでいく。
全体総括
・人口減少に伴う給水収益の減少傾向が進むなか、退職職員の不補充による水道事業職員の削減等、経常経費の縮減に継続的に取り組むことにより、各事業年度の最終利益を確保し、経営の健全化を維持してきた。・しかしながら、老朽化する水道施設、管路等の更新需要の増加に十分に対応できていないことが各種の経営指標から見てとれる。・また、経営基盤の弱い簡易水道事業との統合も控えており、本市の水道事業経営を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続くものと見込まれる。・このような現状と将来見通しを踏まえたうえで、平成28年度に策定する「水道事業経営戦略」に基づき、投資経費と財源との均衡を図り、将来にわたって持続可能な水道事業経営に努めていく。