経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、平成25年度から平成27年度まで退職手当の減額を行い、退職給付引当金繰入額が減少したため比率が増加となった。累積欠損金比率は、欠損金が生じていないので0%となっている。流動比率は、平成26年度に会計基準の改正があり、流動負債に企業債と引当金を新たに計上したため大幅に減少している。企業債残高対給水収益比率は、昭和62年度に完了した拡張事業の企業債の償還が順次終了しているため減少傾向である。料金回収率・給水原価は、平成26年度の会計基準の改正により長期前受金戻入を新たに計上し給水原価から控除したため100%を上回ることとなったが、施設耐震簡易診断・台帳作成業務を行ったため給水原価が1.53円増加し、料金回収率は1.06ポイント減少した。施設利用率は、人口減少により配水量が減少しているため、比率は年々減少している。有収率は、2.5ポイント改善しているが、変動費が少ないため費用に影響は与えていない。経常収支比率、料金回収率ともに良好で、給水原価も類似団体と比較しても安価であり、経営は健全であるといえる。しかし、人口減少により給水収益は減少傾向にあり、将来的には料金改定を行わざるを得ない状況である。また、施設利用率は低く、将来的に、施設更新の際にはダウンサイジングが必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率は、有形固定資産の3/4を占める配水管で法定耐用年数を超えたものが増加傾向にあり、類似団体と比較しても非常に悪い傾向にある。管路更新率は、平成27年度においては新設管路があったため更新率が減少しているが、管路経年化率を改善するため、近年、管路更新延長を増加して管路更新率を上げているところである。これに伴って将来的に企業債、減価償却費が増加傾向に転じる恐れがある。
全体総括
施設のダウンサイジング、管路更新等の長期的な更新計画を作成し、財政計画とのバランスをとりつつ、料金改定等を考慮した経営戦略を策定する必要がある。そのために、まず平成27年度には、施設の台帳整備、耐震簡易診断、更新計画の策定を外部委託したところであり、管路の更新計画、水道事業全体の基本計画の策定についても平成29年度に外部委託を予定しているところである。