経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は112.79%で、類似団体平均値も上回っており、現時点では良好な経営状況であると言えます。③流動比率については、類似団体平均値を上回っていますが、今後、施設の更新に伴い、資金の流出が進むため低下していく見込みです。④企業債残高対給水収益比率については、平成12年度以降企業債の借入を行っていないため、数値は類似団体平均より大幅に低くなっていますが、今後、老朽管の更新時に、企業債の借入を行う予定で、数値は悪化していく見込みです。⑥給水原価については、企業債利息の減少等により、類似団体平均より低くなっており、⑤料金回収率も110%を上回っており、現時点では必要な経費を料金で賄えています。しかし、今後老朽施設の更新事業を実施していく中で、減価償却費は増加し、企業債の借入に伴う支払利息の増加等により、数値は大幅に悪化していく見込みです。⑦施設の利用率については、類似団体と比較しても低位にあり、能力の半分も利用していない状況です。節水機器の普及等により水需要は低迷しており、長期的には人口減が予想されていることから、今後さらに低下するおそれがあります。⑧有収率は高い数値にありますが、これは計画的に石綿管や鉛給水管の布設替を行ってきたことにより、漏水が減少したことによるものです。しかし、有収率は低下傾向にあり、今後さらに配水管の老朽化により、漏水が増加するおそれがあります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して、高い状況にありますが、浄水施設や取水施設(深井戸)、導配水設備などの老朽化が進んでいることによるもので、資産の長寿命化を図りながら、計画的に更新を行う必要があります。②管路経年化率については、管路台帳の修正を行う中で施工年度が判明した管路のデータ修正を行ったことにより一時的に低下していますが、昭和50年代に配水管整備を集中的に行っており、今後、法定耐用年数を過ぎた配水管が一気に増えていきます。来年度以降、老朽管の更新計画を策定し、計画的に更新を行っていく予定です。
全体総括
本年度の決算だけでは、大きな問題点は無いように見えますが、長期的にみると、人口減による給水収益の減少、施設の老朽化に伴う更新費用の増加などで経営の悪化が見込まれます。特に管路経年化率については、昭和50年代に一気に整備した配水管が法定耐用年数を経過することで急速に悪化し、計画的な更新を行うための体制整備と財源確保が課題となります。現在、監査法人に委託し、経営分析とアセットマネジメント(資産管理)を実施しており、平成29年度中に経営戦略を策定する予定です。経営戦略では長期的な見通しを立て、必要な財源を確保した上でどの施設をいつ更新するか計画策定を行います。