経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率については、類似団体平均値よりも大きく下回っておりますが、経常収益は給水収益が全体の8割以上を占めるため、年々増加傾向にある未収金の回収率を上げ流動比率を向上させる必要があると考えます。企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均値よりも大幅に低くなっているのは、平成19年度の役場第2庁舎建設や平成25年度以降の老朽管入替工事等を除き、基金を取り崩す事で賄っているためです。本町では、水源の約9割を県水に依存している為、給水原価については、類似団体平均値よりも高くなるのは今後も避けられないと予測されます。施設使用率及び有収率については、類似団体平均値を上回っており、現時点では適正な規模に近い状態で施設の稼働ができていると言えるが、年々低下傾向にあるので、今後の給水人口の減少等を踏まえ、将来的には近隣市町との広域化や共同化も含め、施設の統廃合やダウンサイジング等も検討していく必要があると考えます。
老朽化の状況について
有収率が類似団体平均値よりも高く、施設の稼働が収益につながっており、漏水事故等も比較的少ない状況であると言えますが、有形固定資産減価償却比率については、類似団体と同じく年々高くなっており、中でも管路経年化率については急速に高くなってきております。本町では、昭和47年より給水を開始し、平成5年に施設整備が完了し皆水道となりましたが、昭和50年代に建設された施設や水道配水管等については、既に法定耐用年数を迎えたものもあり、今後も法定耐用年数を迎える水道配水管等は急速に増える見込みとなっております。管路等更新を実施するには、多額の財源の確保が必要となるので、経営に与える影響等を踏まえた分析を入念に行った上で、必要性の高いものから優先的に更新等が実施できるよう計画的かつ効率的に更新に取り組む必要があります。
全体総括
経常収支比率等を見ても分かる通り、本町では毎年赤字決算が続いており、資金不足分等は減価償却費等の現金支出を伴わない費用や、基金取崩収入等で補填している状況でありますが、基金についてはいずれ底をつきることになります。経常収支比率の適正化を図るためには、経常収益の9割を占める給水収益の増加及び料金回収率の向上が必要となり、給水原価については上述の通り低下が見込めないため、供給単価の増額が近い将来必要となる見込みです。施設使用率については現時点では適正に近いと言えるが、将来的には給水人口の減少等に伴い、施設のダウンサイジング等も検討し、設備投資を最小限に抑える必要があります。また、管渠等の更新については、多額の財源を必要とするので、事業費の平準化を図り、毎年計画的に実施していく必要がありますので、経営状況について十分に把握した上で、中長期間の投資計画を見直していく必要があります。