経営の健全性・効率性について
本町水道事業の経営状況については近年経常黒字が継続しており、平成19年度より企業債が無い状況が継続していること、類似団体と比較した流動比率も平成27年度の類似団体平均値371.31%に対し3629.41%とおよそ9.8倍の水準であることから、収支面においても資金面においても健全な状態にある。しかし、料金回収率が類似団体平均値が平成27年度で99.99%なのに対し65.70%となっていることからもわかるように、経常黒字は水道料金収入の不足を水道事業の保有する財政調整基金からの繰入収入で補うことで達成されており、給水原価においても類似団体と比較し10円以上高い状態が継続、中でも京都府営水道の使用料が固定的経費として大きな比重を占めており、平成27年度に行われた京都府営水道の料金引き下げなどの事象が無い限り給水原価の改善は難しい。今後の経営を考えると近い将来に見込まれる基金の枯渇に耐えうるよう、水道料金の改定を行うなど経営改善を行っていくことが重要である。施設利用率について、現状で類似団体平均値が平成27年度で58.53%なのに対し50.11%と8%程度開きがある。これは本町において現在も続いている人口増加を見据え、施設能力に余裕を持たせているためで、今後の人口増加が予定通り進捗し、効率的な施設利用が可能になるか、あるいは人口増加が見込めなくなった場合は施設規模の適正化を検討することになる。
老朽化の状況について
下水道管の布設工事に併せて老朽水道管の更新を同時に行うことで費用面においても工程面においても効率的に更新できており、その結果水道管が償却対象資産の大部分を占める有形固定資産減価償却率が類似団体比較で低く、管路経年化率についても同様に低くなっている。なお、有形固定資産減価償却率が平成26年度以降大きく増えているが会計制度の変更により減価償却の基準が変わったことによるものである。
全体総括
料金回収率が類似団体に対し低くなっていることからもわかるように、供給単価と給水原価の開きが依然として大きい状態である。“1.経営の健全性・効率性について”にも記したとおり、固定的経費が原価の大部分を占めるため、適切な費用収益水準を達成するためには長期的な視野を持って施設規模の適正化や、財政調整基金が枯渇した際も経営が成り立つような水道料金水準の検討が必要である。