経営の健全性・効率性について
当町は、木曽川右岸流域下水道計画に基づいて下水道事業を進めており、木曽川流域の市町が共同で汚水処理を行っています。それにより、維持管理に係る費用を押さえられるため、使用料は比較的低い設定にすることができていると考えられます。しかし、収益的収支比率が70%を切っていることが示すとおり、単年度ごとの収支は赤字であり、経費回収率も類似団体平均値よりも低く、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入により賄われている状況となっています。経営の改善を図るためには、今後は適正な使用料収入の確保が必要と考えています。企業債残高対事業規模比率は類似団体と比較して高く、企業債の償還が経営を圧迫している状況です。また、類似団体と比較して経費回収率が低く、汚水処理原価が高いのは、東西に長いという地理的要因により管路が長くなるために汚水処理費が高くなることによるものと考えられます。水洗化率が類似団体に比べ若干低いですが、経済的な事情などで水洗化に迷う方に助成制度を利用してもらえるよう広報や説明会でPRを行っています。今後、使用料収入を増やし、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入で賄われている状況を少しでも改善するため、更なる取り組みが必要と考えています。
老朽化の状況について
類似団体と比較して若干管渠の改善率は進んでいます。これは、当町において不明水対策としておこなった管路調査を基に長寿命化計画を策定し、これに基づき管路の改築を少しづつ進めていることによります。管路の標準耐用年数は一般的に50年とされるものの、国庫補助の処分制限期間は20年であり、20年を経過した管路について不明水対策を兼ねて長寿命化を進めることにより、管路更新等費用の平準化を進めるものです。当町の管路施設はH元年からの布設とまだ耐用年数には余裕があるものの、今後も不明水対策が必要な区域を中心に長寿命化を進め、管路更新等費用の平準化を進めていきます。
全体総括
現在は、単年度ごとの収支が赤字で、収益的収支比率も100%を割り込んでおり、経営規模と比べて企業債の規模が大きいことによる利払負担が収益圧迫の要因となっています。収益を一般会計からの繰り入れに依存しており、経費回収率が低く、適切な水準の料金収入に結びついていないため、運営体制のあり方や今後の投資のあり方、料金体系を見直す必要があります。将来の管渠の老朽化を考慮し、財源の確保のために、今後は必要に応じて経営改善の実施、投資計画の策定などが必要と考えています。