経営の健全性・効率性について
企業債の新規借入抑制により企業債残高対給水収益比率は減少傾向にあるが、経営規模と比較して、企業債残高の規模が大きいといえる。これにより、企業債利息の支払いが、経常収支を圧迫しているといえる。このことから、建設投資と企業債のバランスを適正に維持し、企業債残高の計画的な減少に努める必要がある。料金収入の減少等により、流動比率は減少傾向にあるが、企業債元金の支払いの減少等により、支払能力は十分であるといえる。なお、H26の大幅な減少は、公営企業会計制度の改正によるものである。経常費用の減少により給水原価は減少している。これにより、料金回収率は増加しており、給水に係る費用は給水収益で賄われているといえる。施設利用率、有収率ともに平均値を下回っている。最大稼働率を見ても58.3%と低い値となっていることから、施設能力の縮小(ダウンサイジング)を検討し、漏水等の原因の特定などの対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が増加傾向であることから、保有資産が法定耐用年数に近づいているといえる。アセットマネジメントの実践結果を検討し、計画的な事業計画を策定する必要がある。法定耐用年数を超える管路が増加傾向にあり、且つ、管路の更新については減少傾向であることから、計画的な管路の更新を実施する必要があるといえる。更新に際しては、管路の長寿命化を図るため、実耐用年数の長い資材を積極的に採用することとする。
全体総括
人口減少に伴う料金収入の減少、施設・設備の老朽化等による更新投資の増大などにより、今後、厳しい経営状況が予想される。事業を持続していく為には、中長期的な視点に立った計画的な経営に取り組む必要があると思われる。そこで、厚生労働省が推進する「新水道ビジョン」を実現する為に、平成28年6月に「阿賀野市新水道ビジョン」を策定した。アセットマネジメント等を基にした更新投資の推進、既存施設のダウンサイジング、長寿命化等に取り組み、これに対応した料金の見直しも検討する必要がある。