経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、一般会計からの繰入金により、100%を上回っているものの、経費回収率については、84.28%であり、汚水処理費を使用料で賄えていない状況にある。また、新型コロナウイルスの経済支援対策として、料金値上げの延期を継続したことにより、使用料が減収となったことも起因している。今後も効率的な施設運営を行い維持管理コストの削減に努めていく必要がある。・処理場施設の老朽化に伴い、更新事業を行っており、財源は企業債に依存している。令和3年度の企業債残高対事業規模比率が大幅に上昇しているが、一般会計負担額が減少したことによるものであり借入残高は減少傾向にある。・施設利用率が令和2年度から大幅に減少しているのは施設の拡張によるものでは無く現有施設能力への変更認可を行ったためであるが、維持管理の効率化を図るため、オーバースペックと考えられる施設については、適正な施設規模となるよう検討を進める必要がある。・管路整備については、令和4年度の概成を予定しおり、水洗化率については、2.78ポイント上昇しているが、類似団体と比較してかなり低い状況にある。市街地における管路整備の遅れなどから下水道への接続が伸び悩んでいると考えられるが、個別訪問などの普及・啓発活動の取組を強化していく必要がある。
老朽化の状況について
・類似団体、全国平均と比較し老朽化が進んでいないように見えるが、これは、令和2年度の法適用時に固定資産償却未済高を事業開始時の取得資産としたことによるものである。実態も法定耐用年数を経過した管渠はなく、老朽化に伴う更新対象工事は実施していない現状である。各施設を整備した年度が同時期のため更新時期も重なることが予想されるため、村上市下水道ストックマネジメント計画に基づき、リスクに対応する最小限の改築更新を行う方針である。
全体総括
・令和2年度から、地方公営企業法適用事業へ移行し2年目となり経営課題が見えてきている現状である。経営戦略については平成28年度に策定した後、見直しを行っていないことから、上下水道事業審議会での議論を踏まえて見直しを図る必要がある。・先送りしていた料金改定については、令和4年6月から実施しているが、災害の影響もあり厳しい経営状況となっている。一般会計からの基準外操入金の割合も高く、繰入金に頼った経営となっているため、適正な料金水準の算定を行い、経営の健全化を図る必要がある。