経営の健全性・効率性について
「経営収支比率」及び「累積欠損金比率」は使用料及び一般会計からの繰入金の増加や企業債利息の減少等により前年度より改善しているが、類似団体より不良な状態である。「流動比率」は平成26年度に会計基準の見直しにより大幅に減となったもので類似団体より低い水準であるが、平成29年度以降増加傾向である。「企業債残高対象事業規模比率」は、前年度より低く、類似団体より低い数値で推移しているが、現在下水処理場の大規模更新工事を行っており、比率が高くなっていくと予想される。「経費回収率」「汚水処理原価」は維持管理に係る費用の減少により前年度より良好な数値となっており、類似団体と比較しても高い値であるため、今後も引き続き費用の削減に努めていきたい。「施設利用率」は年々減少傾向であり、今後予測される人口減少による処理能力の余剰部分の有効利用を検討する必要があるが、類似団体と比較すると高い値である。「水洗化率」は前年度より良好な数値であるが、類似団体と比較して低い値であるため、水洗化の意識を高める広報活動等を行い、加入率の向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は年々上昇傾向にあり、類似団体より高い水準である。今後、下水処理場の大規模更新工事により固定資産が増加し比率が下がると予測される。「管渠老朽化率」「管渠改善率」は、未だ0%であり、供用開始から44年であるため耐用年数(50年)を超えている管渠はない。
全体総括
経営の健全性・効率性については、処理区域拡大により使用料が増加し、いくつかの指標で改善が見られる。しかし、今後人口減少による使用料の減少は避けられず、費用削減、水洗化率の向上、不明水対策の強化、処理能力の余剰部分における有効利用の検討等の取組が必要である。また、効率的な事業実施のため全体計画の見直しを行い、計画に沿って事業を実施し、事業費の平準化を図ることで企業債残高を着実に減らし、堅実な運営をしていくことが必要となる。老朽化の状況については、平成26年度から実施している老朽化施設の更新・長寿命化事業と併せてストックマネジメント計画を策定し、計画的な更新・改善工事を実施する必要がある。なお、上記の各種取り組みを盛り込んだ経営戦略を令和4年12月5日に改定済である。