経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、経常収支が黒字である100%を超えており、また、前年度116.25%(122.31%から資本費繰入収益91,847千円除く)より1.88ポイント増加しています。併せて⑤料金回収率をみますと、100%を超え、前年度に比べ2.83ポイント増加しています。給水に係る費用が給水収益で賄えていることがわかります。②累積欠損金比率は本年度もゼロとなり、複数年にわたって累積した損失のないことが分かります。③流動比率は、短期的(1年以内)な債務に対する支払い能力を表しています。本年度は250.73%で前年度に比べ64.54ポイント増加し健全な結果となりました。100%を超えていますので、現金がない事により”1年以内に支払わなければならない負債”がないことが分かります。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益に対する企業債残高の割合を表しています。本市は他事業体に比べ高い数値となっています。本市は、沖縄本島から離れた島という地理的条件により、取水施設・導水施設・浄水施設・送水施設・配水施設を有し、投資財源を企業債で賄っていることが分かります。①経常収支比率は健全でありますが、元利金償還を見据えた、一層の経営努力が必要となります。⑥給水原価は、有収水量1㎥を供給するのに要した費用(原水を取水し、浄化したのち水道蛇口から1㎥の水を届けるのに要した費用)を表します。前年度に比べ有収水量は微増し、費用の抑制により前年度に比べ健全な結果となりましたが、費用については、2年連続の繰上げ償還が要因となっており、今後も費用の抑制に努めていく必要があります。⑦施設利用率は、施設の利用状況と施設の規模が適正であるかを表します。一日の平均配水量と一日の配水能力の割合で表し、100%に近いほど健全とされ、低いと施設の統廃合やダウンサイジング等の検討が考えられます。本市は、他事業体に比べ適正と考えます。⑧有収率は、施設の稼動によりどれくらいの収益を得ているかを表し、浄水場からの配水量と水道料金で得た水量の割合になります。値は100%に近いほど健全で、類似団体に比べよい結果となっておりますが、全国平均値に比べると3.6ポイントの減少となっています。また、前年度に比べ微増の改善結果となっています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却費率は、資産の老朽化度合いを表します。数値が高い場合は、法定耐用年数を経過した管路を多く保有していることになり、本市は、全国及び類似団体と同じ状況と考えます。併せて③管路更新率の管路の更新ペースや状況を表す指標結果は、当該値前年度や全国及び類似団体に比べ低い結果となっていることから、管路更新計画の見直し等、検討が必要と考えます。②管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表しています。本表の値は0.18%ですが、4.22%と改め、前年度より0.02ポイントの改善となりました。前年度に比べ法定耐用年数を超えた管の割合が減少したことになります。
全体総括
1.経営の健全性・効率性においては、前年度に比べよい結果又は、健全といえる状況にあるといえます。2.老朽化の状況においては、有形固定資産の全体が法定耐用年数の45.34%を経過し、そのうち管路については、4.22%が法定耐用年数を超えてる。しかし、管路の更新率は、当年度は0.1%となっています。以上のことから、管路の更新ペースを含めた事業見直しを検討する必要が急務であり、財源確保の観点から、将来の経営の健全化・効率性についても併せて検討が必要と考えます。しかしながら、人口減少・節水意識の向上・節水機器の普及による収益の減少、温暖化による少雨傾向、台風の大型化・地震など自然災害の復旧費用の増大は、将来必ず行う更新事業費を賄う純利益を圧迫すると考えます。それを踏まえ、常にそれらの需要に適合した最新の経営計画を策定していく必要があると考えます。