経営の健全性・効率性について
①③経常収支比率・流動比率類似団体平均値よりも高い数値を示しており,収益及び支払能力の点でおおむね経営の健全性は保たれている。④企業債残高対給水収益比率簡易水道事業の事業進捗による借入増により企業債残高が増加傾向にあるものの対給水収益比率は類似団体平均値より低い。⑤⑥料金回収率・給水原価給水原価が前年度と比較して減少しているのは,制度改正による長期前受金戻入の数値の影響が他団体よりも大きいのが原因であり,料金回収率も制度改正を考慮しない場合99.13%となる。今後は給水収益の減,維持管理費用及び施設の更新費用の増加が見込まれることから,経営計画をたてた上で適正な料金設定が必要になる。⑦施設利用率類似団体平均値より下回っていることから,施設の能力が充分生かされていないといえる。今後も給水人口の減少が見込まれることから,施設の更新の際にはダウンサイジング等適正規模になるよう計画していく必要がある。⑧有収率類似団体平均値と比較しても低い数値となっている。これは,主に上水道区域における漏水が原因であるため,今後有収率向上のためには効率的な漏水対策が必要である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率類似団体平均値とほぼ同じであるが,施設・機器等に比べ管路の更新は遅れている。②管路経年化率老朽化した管路については,現在のところ類似団体平均値を下回っているものの,今後管路更新計画を策定予定であり,現状を把握しながら計画的に更新する必要がある。③管路更新率各年度とも類似団体平均値より低く,ばらつきがあるので,更新計画の実施による事業の平準化が必要といえる。また,大型浄水場の更新事業を実施していることを踏まえ,重要配水管から先行して管路の更新を実施するなど,配水管の重要度と耐用年数などのバランスを図りながら,効率的な更新を計画する必要がある。
全体総括
水道事業としての経営の健全性としては,現在までのところ良好であるといえるが,有収率や管路更新率の低さなどが将来の事業経営に著しく影響を与える恐れがある。これらに対し,漏水対策や管路更新計画等を基にした経営計画を立てていく必要がある。また,将来の人口減少も見据え,アセットマネジメントを活用して,必要な更新需要と財務状況を総合的に比較検討し適切な情報開示に努めるなど,議会・市民への説明責任を果たしつつ,適切な水道事業運営を行っていく必要がある。