経営の健全性・効率性について
経常収支比率は平均値と比較すると低いものの、100%を超えており単年度黒字が継続している状況である。一方で料金回収率は100%を下回っており、現状では給水に係る費用が水道料金以外の収入(主に加入金)で賄われている状態であることを示す。また給水原価については、平均値と比較して50円前後上回っており、費用削減が課題となっている。現在は主に浄水施設を中心に維持管理費等の経費節減に取り組んでおり、今後もより一層の改善に努める。流動比率は100%を超えており1年以内の短期での返済能力があることを表すが、平成26年に大きく減少しているのは、同年の地方公営企業会計基準の改正によるものである。企業債残高対給水収益比率については年々減少しているが、これは平成21年以降起債を行っていないことが主な要因であり、今後も出来る限り起債を行わず債務残高を減らすことを目指す。施設利用率は減少傾向であるが、これは給水人口の減少や節水器具の普及等、社会経済状況を背景とした水需要の低下による配水量の減少が要因で、今後実情に即した施設規模への見直しが急務となっている。一方で、有収率は比較的高く、給水量のうち高い割合で収益に繋がっており、概ね良好といえる。今後は中長期的な水需要予測を行いながら、上記を踏まえた財政計画の構築により、経営の健全性を維持していくよう努める。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は平均値よりも若干高く、本市において年々施設全体の減価償却が進んでいることを示す。管路の状況については、経年化率は5%前後で平均値を下回っているものの更新率も年々低下している状況である。今後も耐用年数を経過した老朽管は増加する見込みであり、計画的に管路更新を進めていく必要がある。このため本市水道事業では、今後中長期的な期間における老朽配水管の更新費用を算定し、それを各年度において平準化することを目標として、計画的かつ効率的に管の更新を進めるよう努める。
全体総括
古賀市水道事業では、自己浄水と受水により経営をすすめているが、今後は受水増量の計画となっていることや、将来の水需要減少の予測等により、自己水源による浄水量は更なる減少を迫られることとなる。このような状況下で、現有施設規模では多額の維持管理・更新費用が必要となり収益を圧迫することが予想される。健全な事業の持続性を維持するためには、今後施設規模の適正化を図り経費を削減し、同時に将来必要な施設更新に備え財源確保を行いながら、事業規模に応じた経営を行うことが必要であり、これらを踏まえて今後の経営改善に努めていく。