経営の健全性・効率性について
水洗化率については、類似団体平均値と同様な数値であるが、他の経営指標については平均値を下回っている。収益的収支比率は90%前半、毎年赤字経営が続いている。平成27年度における経費回収率は52.46%、前年度と比較して7.4%減少、下水道事業特別会計の企業会計移行(平成29年度)に向けた経費の増によるものである。毎年、経費回収率については60%前後であり、使用料収入で回収すべき経費を賄えず、一般会計からの多額の繰り入れで賄っている状況である。このような状況を少しでも改善していくため、平成29年度から使用料の増額改定を行う。今後も、維持管理費の削減や定期的な使用料単価の見直しを継続していく。施設利用率については、毎年30%前半と類似団体の平均値から大きく下回っており、処理能力に余裕が生じている。今後、大幅な水量増加は見込めないため、改築・更新時に利用するなど、今後の施設活用について検討したい。企業債残高対事業規模比率は、類型団体平均値を下回っている。既に施設の整備を完了していることが要因であり、企業債残高は着実に減少している。
老朽化の状況について
管路施設については、供用開始(平成11年)から年数が経過していないため、耐用年数(50年)から見てもまだ十分な期間がある。現状として、管渠の更新・老朽化対策は実施していない。しかし、浄化センター内に設置されている施設・設備については、経年等による機能の低下が発現し始める時期にある。平成25~26年度において、長寿命化計画に基づいた浄化センター電気設備工事を実施した。今後、施設全体の管理を最適化するストックマネジメント計画を策定し、長寿命化対策事業を継続しながら施設の計画的な維持管理に努めていく。
全体総括
今後も、戸別訪問など水洗化普及活動に尽力し水洗化率のアップをめざすことが第一であるが、近年の人口減少に伴う使用水量の減少、下水道使用料収入の伸び悩みにより、経営環境は大変厳しい状況にある。経営的には依然一般会計からの繰り入れがなくてはならない状況である。平成29年度から公営企業会計を適用し、安定的なサービスの提供、持続可能な下水道事業の経営を目指していく。また、施設のライフサイクルコストの低減化を図る計画的な維持管理に努めていく。