経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、100%に至ってはいないが比較的高い数値を保っており、今後も維持管理費の削減や使用料単価の定期的な見直しを行う等健全経営に向けた取組を継続していく。企業債残高対事業規模比率については、使用料単価の見直しを定期的に行っていることや、老朽化した管渠がなく、更新の必要性がないことなどから類似団体と比較しても低い数値を示しており、今後も適切な投資を行っていく。経費回収率についてはほぼ100%を回収することが出来ており、現状では適切な使用料単価による徴収が行えていると考える。しかし、平成32年度には地方公営企業法を適用し、会計処理の方法を現在の官庁会計から企業会計へ移行することにより、資本費の考え方が変更となるため、今後は減価償却費等を含む使用料対象経費を基に使用料単価の見直しを行っていくことが重要である。汚水処理原価については、本市はポンプ場を設置する必要がないため、類似団体と比較しても維持管理費用を低く抑えることができている。それにより汚水処理原価も低く抑えることができ、経費回収率の向上に繋がっている。施設利用率についてはここ数年50%に満たない数値ではあるが、平成27年度における晴天時の最大処理水量でみると最大稼働率は60%を超えている。今後は面整備の進捗とともに処理水量は増加すると見込んでいるため、施設の有効利用が図られていくと考える。水洗化率については、90%を超える数値となっており、類似団体と比較しても高い水準を保っているが、全国平均と比較すると低い値となっているので、今後も未接続者への啓発を継続して行っていく必要がある。
老朽化の状況について
本市の下水道管渠は最も古いものでも20年以下であり、管渠の耐用年数である50年と比較しても老朽化しているとはいえない。また、定期点検の結果からもほぼ健全化は図られているため現状では老朽化に伴う管渠の更新は行っていない。しかし、年数の経過に伴い老朽化が進行していくことは容易に予想されるため、今後も定期的な点検を行ない、計画的な更新を行なっていくことが必要である。また、処理場施設については使用年数が耐用年数(概ね20年)に迫ってきており、突発的な故障等により機能不全に陥らないよう、今後も計画的な予防修繕を行っていく必要がある。今後は企業会計化に伴う資産調査により資産情報の把握を行い、効率的な維持管理を行う予定である。
全体総括
本市の下水道事業の経営状況は類似団体と比較しても、健全な経営となっている。しかし、今後、歳出では管渠の更新や、処理施設の維持修繕等にかかる費用の増加が想定され、歳入においては使用者の節水等による使用料収入の伸び悩み等、様々な課題が予測される。それらに対応していくため、今後は企業会計化により保有資産の状況や経営状況を正確に把握し、計画的かつ効率的な維持管理を行うこと、また使用料単価の定期的な見直し等による歳入の確保が求められる。