経営の健全性・効率性について
平成26年度末の給水人口が32,981人の水道施設を管理運営している会計で、昭和50年代に整備した水道施設を平成11年から平成28年度までの間、191億円を投資して計画的に改良・更新を行っている。経営状況については、経常収支比率が過去5年間80%台で推移しており、水道料金収入等で経営に必要な経費(施設の維持管理費等)を賄うことができていない状況である。これは、新しい施設の建設に伴う借入金の支払利息及び減価償却費が費用の約7割を占めているためであると考えられる。その結果、毎年度損失を計上しており、累積欠損金が増加している状況である。一般会計から基準内の繰入金はあるが、損失補てんのための繰入金はない。ただし、流動比率は311.33%であり、支払い能力は保たれており、類似団体平均382.09%と比較してもほぼ同水準である。企業債残高対給水収益比率は過去5年間2,000%台で推移しており、類似団体平均が400%であるのに対して、大幅に上回っている。これは1ヶ月20㎥当たりの家庭用料金が2,350円で類似団体平均2,698円(H25)と比較してもほぼ同水準であることから、着実に老朽化した施設の改良・更新を行っている結果、投資が大規模になっていると言えるが、平成28年度には事業が完了するため、今後債務残高は減少する見込みである。施設利用率は近年減少傾向にあり、給水人口の減少及び大口使用者の撤退等が影響しているものと考えられ、類似団体平均と比べて低い水準にある。有収率については、87.43%で類似団体平均85.23%を上回っており、老朽管の更新や漏水修繕等適正な維持管理が行えていると言える。
老朽化の状況について
有形固定資産原価償却率が26.00%となっており、類似団体平均44.31%に比べ大幅に下回っていることから、老朽化した施設が少ないことを表してる。これは平成11年度から継続して施設を改良・更新しており、新しい施設が多いためと考えられる。管路経年化率は0.37%であり、類似団体平均10.09%を大幅に下回っていることから、法定耐用年数を超えた管路は少ないと言える。管路更新率については、毎年計画的に管路の布設替を行っており、過去5年間約1%以上の更新率で推移しており、類似団体平均の0.6~0.8%に比べ上回っている。
全体総括
経営の状況としては、経常収支比率が100%を下回り、累積欠損金を計上しており、企業債残高対給水収益比率については類似団体平均と比べて上回っている。これは計画的な施設の改良・更新を行っている結果、経営を圧迫していますが、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率から比較すると、施設の改良・更新は類似団体よりも進んでいることを表している。累積欠損金を解消するため、収入については平成19年度から4年ごとに料金の見直しを行っており、平成27年度までに3回の料金改定を実施して、また人件費の削減等経営改善を行なっているが、給水人口の減少等によって水道料金収入が伸び悩んでおり、経営は厳しい状態が続いているため、今後も効率的な経営に努めていく必要がある。