経営の健全性・効率性について
経常損益を表す経常収支比率は100%以下の指標になると単年度収支が赤字であることを示すが、本市では表①の指標のとおり、過去5年間100%を下回ったことはない。平成25年の102.76%が最低値、平成26年度においては109.77%と類似団体平均値とほぼ同じとなっている。なお、平成26年度決算においては、当年度未処分利益剰余金が53,461,352円となっている。累積欠損金については欠損金が発生していることを示す指標である。表②のとおり過去5年間0%となっており未発生である。また、1年以内に支払うべき債務に対して支払金の準備があるかどうかを示す指標である流動比率は、表③のとおり過去5年間100%を下回ることはなく、平成26年度においては類似団体平均値をやや上回った404.87%となっており、支払い能力に余裕があることを示している。企業債残高対給水収益比率については、表④が示す指標のとおり類似団体平均値より高い数値を示しているが、今後の企業債償還に要する経費については既に計画的に財源が確保されている。給水原価については、過去5年間145円~160円で推移しており、類似団体平均値より約20円程度低い経費をもって給水し、料金回収率については、平成26年度100%を7.75%上回っているため、今後の推移に注意を払う必要がある。以上の指標から本市の経営については、概ね健全経営が維持されいる状況にあると考えられるが、さらに一層の健全経営に努めなければならない。次に施設利用率については、一日配水能力に対する一日平均配水量の割合であり、施設の利用状況や適正規模を判断する指標である。平成22年には66.63%、平成26年度には59.58%と下降傾向であるが、表⑦のとおり類似団体平均値と比較しても施設を効率よく使用しており、適正規模であると考えられる。さらに、有収率は施設の稼動が収益につながっているかどうかを判断する指標である有収率については、表⑧のとおり過去5年間数値が上昇傾向にある。平成26年度は100%を目標に92.36%と徐々に稼動状況が収益に反映する度合いが高まりつある。以上前2項目の施設に関する指標から本市の水道施設については、適正規模であると考えられ、効率良く収益に反映していると考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、資産の老朽化の度合いを示す指標である。100%に近いほど老朽化が進んでいる状況を示している。本市については表①のとおり指標が類似団体平均値を過去5年間下回っており、平成26年度においては、37.61%と平均値より6.7%低い数値である。類似団体との比較においては、保有している資産が法定耐用年数に近づいている割合が低いと考えられるが、指標を参考に将来の施設の更新等の必要性と財源の確保に留意したい。管路経年化率については、表②のとおり法定耐用年数を越えた管路はなく該当なしである。管路の更新投資の実施状況である管路更新率については、表③のとおり過去5年間を見てみると類似団体平均値と同等であるが、平成25年、26年は平均値を越えた管路更新の実績となっている。耐震化の対応と併せ今後積極的な整備に取り組む計画である。
全体総括
本市の上水道事業における財政状況については、経常収支比率、総収支比率は100%以上で黒字経営となっており、健全経営を維持している。水道施設の整備及び運用稼動状況についても収益性との関連において適正対応と考えられる。今後は、小規模施設(簡易水道)の整理統合、老朽施設の更新等、資本投資の増加が見込まれることから、効率的な経営に努めると共に、人口減少に伴う水道利用収益の減少などに対応するため、合理的な料金設定を図るなど、更なる財源確保に努める必要がある。