経営の健全性・効率性について
経常収支比率、料金回収率は平均値を下回っており、近年は赤字決算となっている。これは、給水人口、給水量の減少に伴う水道料金収入の減少。また、本市では平成11年以降、料金改定を行っておらず、安価な水道料金設定となっていたことも要因となっている。一方、漏水調査の強化、老朽管更新を計画的に行い、維持管理費の低減を図った結果、給水原価は平均値を下回っており、年々有収率も増加している。累積欠損金比率については、決算日の翌日に補てんしているので、実質は発生していない。流動比率は、未払金の増減により大きく変化しているが、未払金については請求日と決算日との都合による未払金で、4月以降に支払っているので、事業運営への影響はない。なお、平成26年度は大幅に比率が減少しているが、これは地方公営企業会計制度の見直しにより生じたものである。企業債残高対給水収益比率は、平均値を上回っているが、企業債残高は計画的な償還に伴い減少している。施設利用率については、給水人口、給水量の減少により減少している。今後は、給水量に見合った適切な施設規模への見直しを図っていく。
老朽化の状況について
現在、多くの水道事業体が高度成長期に整備した施設や管路の更新時期を迎えており、本市でも、水源地、浄水場、ポンプ場、配水池、老朽管の更新時期を迎えている。有形固定資産減価償却率、管路経年化率が平均値を上回っており、老朽化が進んでいる状態である。管路更新率については、有収率低迷の主原因でもあるため、耐震化と併せて計画的に老朽管を更新し、年々更新率が増加している。
全体総括
本市においては、経営の健全性は厳しい状況にあり、水需要の減少、老朽化施設更新等の水道事業を取り巻く社会情勢の変化に対応した水道料金の見直しを行い、平成27年4月より料金改定を行った。将来にわたって、安全で安心な水道水を供給するためには、老朽施設の更新及び耐震化等の対策が不可欠であり、財政状況を踏まえながら、緊急度・投資効果・優先順位などを検証しつつ、計画的に施設整備を行っている。また、整備にあたっては、費用対効果分析に基づき整備水準の見直しや計画の適正化を図り、より効率的・効果的な施設整備を行っている。今後も厳しい状況が予想されることから、各指標を分析し、30年先、50年先を見据えた対策を講じる必要がある。