経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は106%程度で横ばいで推移している。収益の核となる給水収益(料金収入)の減少に伴い総収益は減少傾向にあるが、それに合わせて人件費等の費用の削減を図っていることにより、単年度で黒字を確保しているためである。欠損金は生じていない。・「流動比率」については、基本的には改善傾向にある。建設事業費の抑制や平成21年度から企業債の借入れをせず事業を実施し支払利息を削減していることなどにより、現金預金が増加しているためである。財務体質は徐々に改善されている。但し、平成26年度の制度改正に伴い、翌年度償還予定額を流動負債に計上することになったため、平成26年度以降の流動比率は大幅に悪化することになた(実態を表すことになった)。・企業債残高は減少しているが、給水収益も同時に減少しているため、「企業債残高対給水収益比率」は横ばいで改善はされていない。・「料金回収率」については、給水原価が供給単価を上回っており原価割れの状態が続いている。総括原価方式に基き、より妥当な料金水準を試算する。・また、「有収率」は平成26年度で約79%と全国平均を大幅に下回っている。漏水調査等により改善に努めてはいるが、老朽管の更新等の根本的な解決に取り組む必要がある。・給水収益は年々減少傾向にあり、費用の削減にも限界があるため、経営の健全化、安定収益の確保のため料金改定の実施を予定している。また、民間委託の実施検討などの経営改善にも引き続き取組む。
老朽化の状況について
・「有形固定資産減価償却率」は、平成26年度の制度改正(みなし償却制度廃止)により大幅に上昇した。平成26年度で約41%となり、より実態を表した数値となったことにより、今後の見通しを立てやすくなった。・「管路経年化率」は上昇傾向にあり、平成26年度は約20.5%となった。管路等の老朽化は進行しており、今後、計画的な更新を図る必要がある。・「管路更新率」は平成26年度で0.6%低く、このままの更新状況では更新需要に追いつかないため、更新スピードを速める必要がある。しかし、同時に更新に見合う財源を確保する必要があるため、料金改定を計画している。・また、予防保全的な補修等をすることにより、資産の長寿命化を図り、更新費用の低減を目指すアセット・マネジメント手法を活用する。
全体総括
・比率に現れているように、収益の核となる給水収益が減少する中、費用を削減することにより黒字を確保するとともに、財務体質の改善も図り、経営の健全化を維持している。・しかし、さらなる人口減少にともなう給水収益の減少や老朽化の進む管路等の更新需要の増加などの将来的な課題が指標から見て取れる。・平成28年度末には、国の方針により簡易水道事業を統合する予定である。統合により簡易水道事業も公営企業会計となるため、国の補助金や当市においては一般会計からの赤字補填がなくなる。さらに、新たに多額の簡易水道資産に対する償却費が発生することになるため、統合時に料金改定を実施し、安定的な収益を確保することにしている。・平成28年度中には、「料金改定最終案」を決定するともに、投資計画とそれに見合う財源計画を試算する「経営戦略」を策定し、経営改善に取組む。