経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】・給水収益が減少したものの、会計基準の見直しに伴う長期前受金の収益化による影響で経常収支比率の分子となる経常収益が約6千2百万円増額したことなどにより、前年度より3.47ポイント上昇した。今後も業務委託の拡大や契約方法の見直しによる維持管理費の節減等を図り、健全経営に努める。【累積欠損金比率】・0%であるが、今後は老朽化施設への大規模投資に伴う減価償却費や支払利息の増加により中々利益が得られず、利益剰余金の減少が続いていくものと見込まれる。【流動比率】・会計基準の見直しに伴う企業債の負債計上や引当金の計上義務付けによる流動負債の増加により、前年度より大幅に減少した。類似団体平均を154.03ポイント下回っているが、今後も大規模投資による企業債の増加により減少傾向で推移することが見込まれる。【企業債残高対給水収益比率】・企業債の新規発行や給水収益の減少により、前年度より12.77ポイント増加した。類似団体平均を45.13ポイント上回っており、今後も大規模投資により更なる増加が見込まれるが、老朽化施設の延命を図り、施設の更新時期・工法等を見直すことにより、企業債の発行抑制に努める。【料金回収率】・長期前受金の収益化の影響により、前年度より3.46ポイント上昇した。今後も業務委託の拡大や契約方法の見直しによる維持管理費の節減等を図り、料金回収率の維持に努める。【給水原価】・長期前受金の収益化の影響により、前年度より5.01円減少した。類似団体平均を17.23円下回っているが、今後は大規模投資に伴う減価償却費や支払利息の増加により、給水原価の増加が見込まれる。【施設利用率】・使用水量の減少に伴いこれまで減少傾向で推移しており、前年度より1.68ポイント減少した。類似団体平均を2.57ポイント下回っており、今後も人口減少や高齢化が更に進むことにより、利用率の減少が見込まれる。【有収率】・老朽管の更新や漏水の早期修繕によりこれまで僅かながら上昇しており、前年度より0.38ポイント上昇した。類似団体平均を4.78ポイント下回っているが、今後も引き続き有収率の向上に努める。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率】・会計基準の見直しに伴うみなし償却制度の廃止の影響により、前年度より4.17ポイント上昇した。類似団体平均と同水準ではあるが、管路経年化率が平均を下回っているところを見ると、浄水場など主要施設の方がより老朽化が進んでいると言える。今後は導水管の更新やその後予定の室山浄水場の更新など、施設整備がよりスムーズに効果的に行えるよう、事業計画を見直しながら主要施設の更新に取り組む。【管路経年化率】・これまでほぼ横ばいで推移しており、類似団体平均を1.2ポイント下回っているが、昭和50年代の拡張時に布設した管など耐用年数間近のものが数多く残っており、今後急激な増加が見込まれるため、漏水による影響が大きい老朽管を最優先に、経年化率の増加を抑えられるよう更新に取り組む。【管路更新率】・石綿管更新事業を行っていた数年前に比べ、ここ3年は減少している。類似団体平均を0.07ポイント下回っており、また耐用年数を考えれば、まだまだ更新ペースを上げていく必要があるため、漏水による影響が大きい老朽管を最優先に、平準化して更新に取り組む。
全体総括
「経営の健全性・効率性」の各指標のうち、経常収支比率・料金回収率及び給水原価に関わる経常費用の節減に向けた取り組みとしては、施設の維持管理に係る業務委託の拡大や契約方法の見直しを図る。また有収率の向上を図るため、老朽管の更新を進めるとともに、漏水箇所の早期修繕に努める。施設利用率については、今後の配水施設更新にあたり、将来の水需要予測に見合った規模や能力へ見直すことにより改善を図る。「老朽化の状況」の各指標の改善に向けた取り組みとしては、導水管をはじめ老朽化した管路や室山浄水場など主要施設の更新を、優先順位に沿って、安定供給体制を次の世代へ引き継げるよう計画的に行っていく。この施設への大規模投資により、後年にわたり減価償却費や支払利息、更に企業債の償還金が増加していくことになるが、更新時期や内容、事業費やその財源など、よりスムーズに効果的に行えるように事業計画の見直しを重ね、経営に関する各指標への影響を最小限に抑えられるよう努める。