経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、58.70%であり、100%を割り込んでいることから単年度収支が赤字であることを示している。これは、企業債償還金が収益を圧迫していることが要因である。平成27年度は、収益に下水道施設の移設補償費を計上した為、改善している。④企業債残高対事業規模比率は、料金収入に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を示す指標である、当市は913.16%であり類似団体平均を下回っている。経年比率でも改善傾向にあり、投資抑制効果及び初期投資分の企業債の償還終了等による企業債残高の減少が要因と考えられる。⑤経費回収率は、料金収入で回収すべき経費をどの程度賄えているかを示す指標であり、全国平均及び類似団体平均を下回っている。企業債の償還が影響していることが要因と考えられる。経年の回収率からも、料金収入からは汚水処理費用の約7割しか賄うことが出来ず一般会計からの繰入金等に依存している状況であり適正な使用料の確保及び汚水処理費の削減が今後の課題である。⑥汚水処理原価は、有収水量1㎥当たりの汚水処理に要した費用であり、類似団体平均と比較して良いが全国平均を下回っており、企業債の償還が影響していると考えられる。また、経年比較では若干原価が増加傾向にあるが、これは人口減少等による有収水量の減少が要因と考えられる。⑧水洗化率は、類似団体平均値を上回っているが全国平均には達していない。未接続の高齢者世帯の増加等の社会的問題にも起因すると考えられる。
老朽化の状況について
当市の公共下水道事業は、昭和56年度より面整備を年次計画で実施してから平成28年度で36年目に入る。また、昭和62年度より一部供用開始し30年目となり下水道施設の老朽化が目立つ。管渠改善率からは現状のペースでは、全ての管渠を改善するには相当期間が必要であり、更新ペースを引き上げる必要がある。今後は、現在進行中のストックマネジメント計画に基づき優先順位を決め効率的且つ効果的な下水道施設の改善を行う。
全体総括
今後の下水道事業は、少子高齢化に伴う人口減少等から、さらなる料金収入の低下が見込まれる。また、施設の老朽化による更新費用が年々増加することから、より一層効率的な経営が求められるところである。【今後の取組】1.下水道に対する住民の理解を深める事により水洗化率を向上させ、有収水量の増加を図る。2.事業認可区域の見直し等により、新規投資を抑制し費用を削減すると同時に企業債残高の圧縮に努める。3.ストックマネジメント計画を策定し効率的且つ効果的的な改築更新を実施し下水道施設の長寿命化を得る。4.経費回収率が低く、整備した施設が現状では適切な料金収入に結びついていない事から、料金収入の適正化を図る事により一般会計からの繰入金を圧縮する。5.平成32年度に会計の法適用化を行い財政状況を明確にし健全化と長期的な展望の基、持続可能な経営を目指す。