経営の健全性・効率性について
本町水道事業の経営状況については近年経常黒字が継続していることや、平成19年度より企業債が無い状況が継続していること、類似団体と比較した流動比率もH26の類似団体平均値382.09%に対し3153.03%と約8倍の水準となっていることなどから健全な状態にあると言える。しかし、料金回収率からもわかるように類似団体平均値がH26で99.07%なのに対し61.89%と、黒字経営が水道料金の不足を水道事業が保有する財政調整基金からの繰入を行うことで実現しており、また給水原価はH23,H24は、府営水道の使用権を隣接市へ融通したことにより一時的に下がっているが、通常時で190円後半程度と類似団体と比較し10円以上高い。その中でも上述の府営水道の使用権が大きな比重を占める固定的経費であることから給水原価を下げることは困難である。今後の経営を考えると近い将来の基金枯渇にも耐えうるよう、水道料金の改定を行うなど経営体質の改善を行う必要がある。施設利用率について、現状で類似団体平均値がH26で58.58%なのに対し50.56%と8%程度開きがある。これは現在も続いている本町の人口増加を見据え施設能力に余裕があるためで、今後人口増加により効率的な施設利用が可能になると予測される。
老朽化の状況について
下水道管の布設工事に併せて老朽水道管の更新を同時に行うことで費用面においても工程面においても効率的に更新できており、その結果水道管が償却対象資産の大部分を占める有形固定資産減価償却率が類似団体比較で低く、管路経年化率についても同様に低くなっている。なお、有形固定資産減価償却率がH26以降大きく増えているが会計制度の変更により減価償却の基準が変わったことによるものである。
全体総括
料金回収率が類似団体に対し低くなっていることからもわかるように、供給単価と給水原価の開きが大きい状態。今後の費用の推移を予測しながら、財政調整基金が枯渇した際も水道料金収入だけで経営が成り立つよう料金設定の見直しを行う必要がある。