経営の健全性・効率性について
平成6年度に事業認可を受けて同年度から事業着手し、平成11年度末に一部供用開始した。現在、市街化区域における公共下水道の面整備は概成している。平成28年度から地方公営企業法の財務規定等の適用を受けるため、平成27年度は収益的支出の特長として法適用移行経費などの臨時的経費が計上されているほか、公営企業会計移行の前年度のため打切決算となっている。収益的収支比率の低下については打切決算により使用料や県補助金が決算上減少したものの、それ以上に流域下水道維持管理負担金などの決算上の費用が減少していることから、打切決算が当該比率に影響を与えたわけではなく、これまで特別措置分全額を収益勘定に区分していたものを元金分については資本勘定に見直すなどしたことにより他会計繰入金が減少した一方、地方債償還金の増により減少したことで当該比率が低下している。企業債残高対事業規模比率では打切決算により事業規模がやや減少したものの、市街化区域の下水道整備概成により建設改良債の新規借入はなく、資本費平準化債は借入れているものの、償還金額がそれを上回ったことによる地方債残高の減少分が事業規模の減少分を上回ったため当該比率は引き続き減少している。経費回収率の上昇は打切決算によるもので改善の兆候があるわけではない。汚水処理原価では資本費にあっては平成27年度から高資本費対策費が基準内として繰入れられたことにより減少したものであるが、維持管理費は打切決算により減少している。
老朽化の状況について
下水管渠の総合償却年数は50年、生活排水処理アクションプログラムでは72年程度使用可能と見込んでいる。公共下水道事業の事業着手が平成6年、供用開始が平成11年年度末からとなっているため、老朽化による当面の更新は予定していない。平成27年度の下水道法改正を受けて管路施設でも硫化水素により腐食しやすいマンホール(落差、圧送先)の維持管理については同法事業計画に位置付けを行う予定としている。
全体総括
企業会計移行に伴う打切決算によりこれまでの実績と比較困難な経営指標があるが、未収金と未払金分が決算額として反映されないためで、出納整理期間があったとみなした場合に振り替えられた未収金と未払金をあわせると、経営指標が大きく変動しているわけではない。経営状況としては平成24年度の使用料改定により収益が増加し使用料単価が150円を超えたことにより、平成27年度からは高資本対策費が基準内として繰入れられ経営改善が図られている。市街化区域の下水道整備は概成しているが、区域内の農地で分譲地開発が行われなど、有収水量はまだ増加している傾向にある。