経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、料金収入がコロナ禍から回復傾向にあり、類似団体平均を上回っている。・累積欠損金は、これまでの経営努力により発生していない。・流動比率は、類似団体平均を上回っているが、100%を割っているため、資金減少の状況にある。しかしながら、国庫補助金や企業債の活用などにより計画的な資金確保を予定しており、今後は100%前後を維持すると見込んでいる。・企業債残高対事業規模比率は、過去の積極的な投資により高い水準にあるが、企業債残高は順調に減少し、下水道接続の増加などにより収益は増加しているため、比率は低下傾向にある。類似団体との差は年々減少しており、今後も差の解消が見込める。・経費回収率は、100%を超えており、使用者が負担すべき必要経費を収入で賄えている。・汚水処理原価は、処理場が一つであることなど有利な条件もあり、類似団体平均を下回っており、安価に処理ができていると言える。・施設利用率は、類似団体平均を上回っており、比較的に有効に活用されている。・水洗化率は、供用区域拡大(下水道接続の増加)により上昇しており、類似団体の平均を超える水準に転じている。また、今後も上昇を見込んでいる。
老朽化の状況について
・有形固定資産減価償却率は、供用開始から26年を経過し上昇傾向にある。また、類似団体平均よりも高い状況にあり、今後は計画的な更新財源確保が必要となる。・管渠老朽化率は、耐用年数に達していないため、類似団体と同様0%であり、当面は問題ないが、将来的に一斉に耐用年数を超過する懸念がある。・管渠改善率は、法定耐用年数が超過した管渠が皆無であり、認可区域内でほぼ概成状況であるため、今後も低調となる見込みであるが、問題はない。
全体総括
経常収支等の経営状況は当面安定する見込みである。また、企業債元利償還はピーク迎えているが、今後の建設投資及び企業債残高は、ともに減少傾向となる。ただし、償還額は当面高止まりとなるため、償還額と減価償却費との差額については、今後も資本費平準化債を活用し、緩和措置を行う予定。今後の課題としては、将来的に使用料改定により収入を確保するとともに、一般会計繰入金の水準を安定させ、将来の固定資産更新財源を積み増すことにある。また、さらなる下水道接続率向上の取り組みや、一般会計繰入金の適正金額について、財政部局との協議を引き続き行い、収入の確保に努力する。このほか、有収水量や人口の減少等を見据えて、より効率的な事業運営の取り組みを行う必要がある。