経営の健全性・効率性について
本市水道事業では、近年給水人口の減少、また節水意識の高まりや節水機器の普及などにより、使用水量が減少の一途を辿り、給水収益の減少が続いている。①経常収支比率は、類似団体平均値及び全国平均値を下回っているが、単年度の収支が黒字であることを示す100%は上回っている。②累積欠損金比率は、平成26年度以降累積欠損金は発生していない。③流動比率は、短期的な債務に対する支払能力を表すが、100%以上あるものの、類似団体平均値及び全国平均値は下回っている。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益が減少し続けていることもあり、上昇傾向にある。また、類似団体平均値及び全国平均値も上回っている。⑤料金回収率は、平成26年度は100%を超えたが、供給単価がほぼ横ばいのなか、給水原価の上昇により、100%を下回り、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われている状態となっている。⑥給水原価は、本市は良質な地下水を汲み上げており浄水設備に費用がかからないことや、配水も自然流下が多いなどの理由のため、類似団体平均値及び全国平均値を大きく下回っている。⑦施設利用率は、類似団体平均値及び全国平均値を下回っているが、当市は寒冷地でもあり冬季の需要が多いことも要因の一つとして考えられる。最大稼働率98.65%・負荷率55.44%(平成27年度時)であり、これらの数値も併せ適切な施設規模を把握していく必要がある。⑧有収率は、類似団体平均値及び全国平均値を下回っている状態であり、いくつかの要因が考えられるが、漏水によるものが多いと考えられる。
老朽化の状況について
本市水道事業は、昭和11年4月に給水を開始して以来80年以上が経過している。これまで増加する水需要に応えるため、7期に及ぶ拡張を重ねてきた。(現在第8期事業を推進中)その結果、導送配水管の総延長は290,064mとなり、順次更新時期を迎えていくこととなる。①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は、資産及び管路の老朽化の進行度を示す指標であるが、類似団体平均値及び全国平均値と比較しても、②管路経年化率の類似団体平均値は上回っているものの、その他の数値については下回っている状態である。現在においても本市では、順次更新及び耐震化を行っている。③管路更新率は、類似団体平均値及び全国平均値を下回っているが、これは平成27・28年度に新たな配水場建設事業を行ったことが影響している。29年度以降、中長期的な視点に立った「アセットマネジメント(資産管理)」の考え方を活用しながら、順次管路の更新を行っていく。
全体総括
本市水道事業の現状として、経営面では経常収支比率は100%を超え累積欠損金も発生していないが、企業債残高対給水収益比率は高く料金回収率は100%を下回っている。また施設面では、老朽化状況は現状類似団体及び全国平均をほぼ下回っているものの、今後は老朽化による更新・耐震化に要する費用が増加していくことも見込まれる。上記のような状況のもと本市では、平成29年4月より料金改定を実施し、また施設整備に関しても「アセットマネジメント(資産管理)」の考え方を活用する中長期的な計画のもと、水需要を見極めるなかで、適正規模の整備・更新を実施していく。しかしながら、今後も人口減少などによる水需要の減少も予測されることから、厳しい経営状況が続くと見込まれる。そのため、事業運営の効率化やコスト縮減に努め、経営戦略の検討を進めるなど経営基盤の強化を図っていくことにより、安全で安心な水道水を安定して供給し続け、将来に残していくため取り組んでいく。