経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%未満であり,地方債償還金が大きな要因と考えられる。今後,水洗化率の向上による収入増,運転管理委託等の見直しによる経費削減を図っていく。④企業債残高対事業規模比率については,類似団体と比較しても下回っており,管渠整備について平準化した事業展開を行っている。⑤経費回収率は78.98%であり,類似団体と比較しても約6ポイント高くなっており,使用料設定水準としては概ね適正と言える。現在,下水道整備中であり,接続率の向上や運転管理委託等の見直しを図ることで指標向上に努める。⑥汚水処理原価については,185.80円/m3であり,類似団体と比較して約29円低くなっており,効率的な汚水処理がなされていると判断できる。⑦施設利用率は41.12%となっており,類似団体と比較しても大きく下回っている。当市では,標準活性汚泥法と回分式活性汚泥法による施設の2系列の施設を保有しているが,標準活性汚泥法のみで処理できる状態である。今後,施設の活用について,検討していく必要がある。⑧水洗化率については94.34%となっており,類似団体指標を10ポイント以上上回っている状況である。平成24年度に新市街地整備が完了し,新築住宅が増加しているためであり,今後は既存集落の接続推進を進めて行く。
老朽化の状況について
③管渠施設については,平成元年に供用を開始しており,3箇所ある中継ポンプ場のうち2箇所については,20年以上経過しているため老朽化が進んでいる。平成27年度にポンプ場の長寿命化計画を策定し,今後施設の更新を図っていく。処理場については,平成17年供用開始した施設であり,10年を経過するところである。水処理施設や汚泥処理施設の各種ポンプや主要機器の老朽化が目立ちはじめたため,処理場施設の長寿命化計画の策定も予定している。
全体総括
当市では,つくばエクスプレスに係る新市街地の整備に伴い,普及率,水洗化率は順調に伸びており,使用料収入についても毎年度4~9%増加していることから,安定した財政運営ができている。一方で,施設の更新に係る経費が増加することが見込まれ,財政運営に大きな負担となるため,運転管理の効率化や民間委託等による経費の抑制を図っていく。今後,長寿命化計画に基づく更新事業等により,維持管理費の財源確保及び事業の平準化を図って行く。さらに,接続推進活動の強化,使用料徴収業務を適正に行うことにより安定した収入の確保に努める。また,将来的に計画人口が減少していくことなどから,長期的な視野にたって農業集落排水事業との統合についての検討をする必要がある。