双葉地方水道企業団：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

平成23年3月11日の東日本大震災並びに原発事故により、給水区域の大部分が政府避難指示区域となったことから、住民避難や企業撤退に伴い給水収益が大幅減少となっている。平成23年度以降は、避難指示区域の一部再編に伴う住民帰還等により、給水収益はわずかだが増加傾向となっている。①経常収支比率、②累積欠損金比率、④企業債残高対給水収益比率、⑤料金回収率、⑥給水原価、⑦施設利用率は改善傾向にあるが、平成27年度においても給水区域の大半が政府避難指示区域であることから、一日平均配水量・給水収益は大幅に減少したままであり、類似団体平均値を大幅に下回る結果となっている。③流動比率は毎年100％を大きく上回っており、支払能力は十分備えているが、給水収益が改善されない場合は減少することが見込まれる。なお、平成26年度以降は前年度と比較し大幅に減少しているが、会計基準の見直しにより1年以内に償還する企業債を流動負債に計上することによる減少である。⑧有収率は災害復旧作業に伴う管洗浄等の無効水量が生じているため類似団体平均値を大幅に下回る結果となっている。このことから、震災による災害復旧並びに復興事業を推進しながら、健全で効率的な経営が出来るよう、給水収益の増加などの経営改善に向けた取組がが重要課題となっている。

老朽化の状況について

新しい施設が比較的多いため①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率は類似団体平均値を下回る結果となっているが、平成25年度以降増加しており、今後も増加が見込まれる。なお、①有形固定資産減価償却率における平成26年度の増加は、会計基準の見直しによるみなし償却制度の廃止に伴う増加である。③管路更新率については災害復旧や復興事業に合わせ効率的に管路を更新しているが、類似団体平均値を下回る結果となった。今後も管路経年化率が増加することを踏まえ、計画的な更新が必要である。

全体総括

東日本大震災並びに原発事故により、給水区域の大部分が政府避難指示区域となったことから、給水収益が大幅減少となっている。給水収益は年々増加傾向ではあるが、各指標とも震災前の水準には回復していない状況である。このことから、健全で効率的な経営が出来るよう給水収益の早期改善による収益確保が課題である。老朽管更新は引き続き災害復旧や復興事業に合わせ効率的に更新を実施する必要がある。また、老朽化施設更新や政府避難指示区域内にある未稼働施設の取扱いについては、今後の政府避難指示区域再編の動向や経営の健全性も踏まえ、施設の効率的な運用について見直す必要がある。経営戦略の策定については、平成28年度中に策定の予定である。