経営の健全性・効率性について
①震災のあったH23年度を除き、継続的に100%を上回る黒字経営が続いており、同規模類似団体(以下、「類団」)平均を上回っている。②累積欠損金は、現在のところ発生していない。③毎年度100%を大きく上回っており、支払能力は十分備えているといえる。④全国及び類団平均値より企業債残高割合が少なく、近年は減少傾向にある。他団体と比べると、債務は軽いと言える。⑤全国平均は下回り、類団平均値では上回っている。給水に係る費用は給水収益で賄っている状況にあるが、口座振替の推進や滞納対策の強化など回収率の向上に取り組む。⑥全国及び類団平均値より高く、維持管理費の縮減や経常費用の見直し、投資の効率化を図る必要がある。⑦類団平均値を下回っており、また最大稼働率55.5%、負荷率86.4%と時期によって需要の変動が大きく、水源水量の確保も含めて、施設規模の適正化を検証する必要がある。⑧有収率は震災前の水準まで回復しつつあり、類団平均値を下回っている。今後も漏水の未然防止、老朽管の布設替えや施設設備の計画的な更新に取り組む。
老朽化の状況について
①全国及び類団平均を上回り、比率が上昇傾向にあるため、配水管路について布設後20年を経過した管路のうち、漏水等が多く耐久性が低下している区間を選定し、更新事業を実施する必要がある。②管路経年化率は、近年0%が続いている。③全国及び類団平均値を下回っている。年度により差があり、特に平成26年度は復旧・復興事業を優先したため更新率が著しく低下した。平成27年度には事業を再開し、また平成29年度に策定予定の施設全体の更新計画に基づきながら、今後計画的に実施していく予定である。・管路の耐久性が低下している区間の選定と、限られた財源の中で管路の優先度を評価した計画的な方策が課題となる。
全体総括
当市水道事業全体の経営は、収益性については概ね良好と捉えている。しかし、指標に表れていないが、避難指示区域の小高水道については震災と原発事故以降、給水収益が激減し営業損益が悪化しており、将来の水需要の動向も想定困難という大きな問題を抱えている。事業全体の大きな課題としては、加速化した人口減少において将来の水需要予測を踏まえた施設のダウンサイジングの検討や、老朽化が進行する管路や設備の更新時期に備えた財源の確保である。毎年度、経営内容を的確に分析した財政運営を図りながら、多額な更新費用の財源確保に努め、施設の更新等に取り組むことが重要である。