経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、料金収入及び基準内一般会計繰入金等の収益で維持管理費及び減価償却費を賄っており、当該値は100%を超えており黒字経営であることから健全経営を保っております。しかし、長期的には水需要の減少に伴う給水収益の減少や老朽施設の修繕、更新に要する費用などの増加が見込まれる事から、今後より一層の経営効率化を進め、収益性の確保に努める必要があります。累積欠損金比率については、純損失(赤字)がないことから当該値0%であり、流動比率についても当該値は100%を超えていることから、短期的な債務に対する支払い能力を有し健全経営を保っております。企業債残高対給水収益比率については、類似団体と比較し高い傾向にあります。これは、現在、平成32年度を事業最終年度とし、第六次拡張事業等を実施しており、多額の企業債を発行したために、企業債残高は高い水準にありますが、高利率の企業債の繰上償還制度を活用するなど、その健全化にも努めて参りました。今後も、新規借入の抑制を図りながら財務状況の健全性の向上に努めて参ります。
老朽化の状況について
昭和4年に供用を開始してから80余年が経過し、その当時整備した老朽化した施設が稼動している状況にあります。また、昭和30年代の急激な高度経済成長に対応するため、早期の水道施設整備が求められたことから、大規模に整備した施設自体も整備後40年以上を経過しており、水道施設全体の老朽化が進んでいます。このように大量更新の時期を迎える施設の費用は膨大であることから、限られた財源の中で効率的に更新事業を執行する必要があります。このような状況を鑑みアセットマネジメント手法を導入し中長期的な視点に立った財政計画のもと、将来にわたって健全な経営の維持と事業運営を図る必要があります。
全体総括
一人当たりの使用水量は、少子高齢化の影響を受け減少傾向にあります。加えて生活様式の変化や特に震災の経験を通した節水意識の高まりなどの要因から、今後も人口動態等により使用量は緩やかに減少していくことが予想され、それに伴い給水収益についても減少することが予想されます。さらに、水道施設の老朽化が進行し、計画的な更新が必要となってきておりますが、財源確保が困難となってくることが予想されることから、将来を見通したビジョンや財政計画の定期的なフォローアップ及び適正な水道料金の設定が重要となってきます。今後とも、事務事業の改善や更なる経費の節減に努め、より一層の事務効率化、独立採算制の向上及び健全な経営に努めるとともに、安全で良質な水の安定供給に努める必要があります。