経営の健全性・効率性について
経常収支比率は単年度の収支を表すもので、100%以上が黒字で、前年度と比較しても15.58ポイント上昇しています。これは平成26年度の会計制度改正により、資本費繰入収益(一般会計が負担する企業債元金償還金)を経常収益(主に水道料金収入)に算入していることが要因ですが、それを除いても116.25%で前年度比7.52ポイント上昇していることから、健全といえます。累積欠損金比率は営業収益(主に水道料金収入)に対する累積欠損金の状況を表しており、損失に至っておりません。流動比率は短期的(1年以内)な債務に対する支払能力を表しており、100%以上であるので健全といえます。企業債残高対給水収益比率は給水収益(主に水道料金収入)に対する企業債残高の規模を表しており、本市は取水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、配水施設を所有し、設備投資に対する負担が他事業体に比べ大きいことがわかります。料金回収率は給水に係る費用がどの程度給水収益(主に水道料金収入)で賄えているかを表しており、100%以上であるため料金水準は健全といえます。給水原価は有収水量(水道料金収入となる水量)1㎥あたりに、どれだけの費用がかかっているかを表しており、他事業体に比べ低く抑えています。施設利用率は一日配水能力(施設が1日に配水できる配水量)と一日平均配水量の割合で、施設の利用状況や適正規模を判断します。一般的に100%に近い数値が望まれ、他事業体に比べ効率的といえます。有収率は施設の稼働が収益につながっているかを判断し、100%に近いほど施設の稼働状況が収益に反映されていることになり、他事業体と同レベルの有収率となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、有形固定資産のうち償却対象資産(土地以外)の減価償却がどの程度進んでいるかを表しており、資産の老朽化度合いを示します。前年度に比べ21.82ポイントの上昇となっていますが、他事業体と同レベルとなっていて、有形固定資産の43%以上の減価償却が行われています。管路経年化率は法定耐用年数を超えた管路延長(取水管、導水管、送水管、配水管の総延長)の割合を表し、管路の老朽化度合いを示しています。法定耐用年数を超えた、急務な更新等の必要がある管路が4%以上もあることになります。管路更新率は該当年度(1年間)で更新した管路延長の割合を表し、0.13%となっています。
全体総括
独立採算制により原則水道料金収入で水道事業を経営し、本市は、取水から配水まで一貫した施設の建設及び維持管理を行っています。経営の面からみると、企業債残高対給水収益比率を除く指標は健全性、効率性を確保していますが、近年の人口減少傾向と節水機器の普及、節水意識の向上等により水道料金収入の減少が予想されます。また、巨額の設備投資に係る財源である企業債に対する償還が今後も経営を圧迫していくと思慮されます。老朽化の面では、管路経年化率が4%以上に対し、管路更新率が0.13%の低い値であることから、施設更新が重要となっています。このことから、施設更新や維持管理等の財源確保や経営に与える影響を踏まえた経営計画、投資計画を策定し、施設更新の実施に向けた取組みを、積極的に推進する必要があります。