経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率県内の類似町村と比較すると高めの数値を示しているものの、100%未満の赤字収支となっているため、経営改善に向けた取組が必要である。●企業債残高対事業規模比率類似団体平均及び全国平均と比較して事業債残高の規模は低めの数値を示しているが、今後管渠等の更新時期を迎えると数値が増加すると予想される。そのため、長期的な料金収入を予測したうえで適切な投資規模を再検討する必要があると考えられる。●経費回収率類似団体平均と比較して高めの数値を示しており、100%前後で推移できているが、今後発生する更新投資に充てる財源が確保されている訳ではない。そのため、必要となる更新費用を見込んだうえで料金設定を見直すことも視野に入れる必要性がある。●汚水処理原価類似団体平均より低コストであり、ほぼ全国平均と同様の数値である。しかし、長期的に著しい人口減少が予想され、汚水処理人口及び有収水量も減少していくと考えられるため、維持管理費の削減や接続率の向上により一層取り組む必要がある。●水洗化率類似団体平均及び全国平均より低い数値となっており、水質保全の観点からも、使用料収入の増加を図るため水洗化率向上の取組が必要である。
老朽化の状況について
管渠改善率(全国0.23%・類似団体0.11%)が示すように、全国的にも老朽化対策が進んでいないことが伺える。当町では、最も古い管渠でも30数年の経過に止まっており、管渠の老朽化対策より公共下水道未普及区域の解消に力を入れている状況である。今後、公営企業会計の適用に伴い、減価償却累計率等が算出できるようになるため、適切な更新投資の試算を実施したうえで、未普及区域解消から老朽化対策へ事業をシフトしていくことが必要だと考える。
全体総括
類似団体平均及び全国平均と比較すると、水洗化率を除けば良い数値であるといえる。しかしながら、当町の下水道整備計画では、今後町の中心地から徐々に人口密度の低い地区へ移行していくことになり、加えて著しい人口減少が予想されているため、収益的収支比率は低下していくものと考えられる。更に、現時点では今後の更新投資に充てる財源が確保できていないため、老朽化に伴う更新事業を見据えると、現状の数値に安心できる状況ではない。公営企業会計の適用後は、使用料の段階的引き上げも視野に入れつつ、町全体の汚水処理計画(公共下水道区域、農業集落排水区域、合併浄化槽区域)を総合的に見直すことも必要になると思われる。