経営の健全性・効率性について
当事業はみなし償却をほとんど実施していなかったこともあり、類似団体に比べて経常収支比率が低い傾向にありましたが、公営企業会計制度改正後の平成26年度は、長期前受金戻入による収益増加に伴い経常収支が大幅に改善されました。累積欠損金は無く、流動比率は会計制度改正後も1,000%を超えており、これは類似団体平均に比べて約2.7倍の規模になります。企業債残高対給水収益比率は年々減少傾向にあり、類似団体平均に比べて大幅に低くなっています。これは、企業債の償還が給水収益で十分賄われており年々順調に進んでいることと、企業債の残高が少ないということを意味し、このため今後大規模な更新事業を実施する際に新規の企業債による資金調達を活用できる余地が大きいと言えます。料金回収率は、制度改正前には100%を割りこんでおりましたが、会計制度改正により改善しており、給水原価も類似団体と比べて低くなっています。施設利用率は類似団体と比べて高くなっておりますが、近年は人口減少もあり低下傾向にあります。有収率は約88%~89%で安定しております。今後の施設の老朽化に対し適切な更新を行い現在の水準以上を維持することが重要と思われます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は50%を超えており、類似団体に比べても高く、それに対し、管路経年化率は平成26年に大きく上昇したものの類似団体に比べてわずかに低くなっています。管路更新率は過去5年平均で約1.45と類似団体に比べて2倍近い規模で実施しており、管路の更新に関しては比較的順調であると言えます。比較的高い有形固定資産減価償却率を押し上げている要因としましては浄水場施設の老朽化があると思われます。
全体総括
当事業の現在の経営状況は料金回収率、給水原価により比較的、効率的に経営されており経常収支比率もよいです。累積欠損金もなく流動比率も高く企業債残高も減少傾向にあることから財務基盤は安定していると言えます。しかしながら、浄水場施設の老朽化が進んでいるため、今後大規模な更新が必要となります。町の人口動態が右肩下がりに減少することも予測されており、それにより給水収益の減少も予想されます。この二つの要因により経営状況が強く圧迫されることが懸念されます。そのような先行きの中、今後は適切な更新を行い、施設利用率を落とすことなく経営することが求められます。